「愛し愛される関係でなくとも」シザーハンズ ぱいらさんの映画レビュー(感想・評価)
愛し愛される関係でなくとも
何度かこの映画を見る機会があったが、そのどれもに違った感想を覚える、おとぎ話のような映画。
最初見た時はサイコホラー映画のようなビジュアルとコミカルな内容のギャップに懐疑的で人間模様など全く見てなかった。しかしながら、今やそれらに対しても隅々まで見られる余裕が出来るようになり、エドワード・シザーハンズという人物の、奇怪でありながら妙に生々しい人間らしさを持つ人物に惹かれるようになった。
ヒロインに対しても、不良と絡んでる奴がこんなに優しい訳なかろうと思っていたが、自分の周りには案外ああいう不良のような強さに憧れながらも、どこかで優しさを求む女性は多かったと思う。彼女の周囲(特に家庭周り)がもたらした影響だろう。そう言ったキャラ配置が自然になされている所は素敵だと思う。
伏線周りの回収の仕方も見事で、本作だけでも物語を完結させられているし、広げようと思えば広げられる。主演のジョニーデップは続編を求めてはいるが、本作はこれで完結させる事の方が鑑賞者の人生において大きな糧となれるパワーを秘めている。
現実の恋愛において支え合う事も大事だが、この映画のように、誰かに姿形が見られなくとも、好きな人やものに対して行動を魅せ続けられる事の方が、生きるための本質を付いていると思わせてくれる、そんな美しく、切なく、笑えて泣ける1作。
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