劇場公開日 1991年7月13日

「バートン色と大衆性との絶妙なバランスが図られたファンタジー」シザーハンズ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0バートン色と大衆性との絶妙なバランスが図られたファンタジー

2020年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

30周年を迎えた本作は、ティム・バートンが幼少期に着想し、スケッチブックにデザインしたキャラ設定が原案となっている。人付き合いが下手で、疎外感や孤独感を抱きながら暮らしていたバートン自身が投影されているのはもちろんだが、それでいうと「バットマン」や「ナイトメア」を始めとするその他のキャラたちもまた、バートン自身だ。彼はそうやってぐるぐると自分について鏡の角度を変えながら描き続けている。

改めて鑑賞すると、パステルカラーの街並みにゴシック調の城、そこに炎をイメージする赤やオレンジの色合いが徐々に増え始めていく緻密な配色の構成に驚かされる。これは「フランケンシュタイン」をはじめとするモンスター・ファンタジーで民衆がたいまつを持って城へ押し寄せてくる描写の現代版か。バートン色をいかんなく発揮しながらも、あえて伝統的な物語運びや話法を用いて、大衆性と絶妙なバランスが図られた一作と言えるのである。

コメントする
牛津厚信