「【”映画よ、永遠なれ”今作は、”映画界で生き残るには何でもありなんだ!”というロバート・アルトマン監督のシニカル、ブラックな映画業界に対するメッセージが込められた観る側を、見事に騙す逸品なのである。】」ザ・プレイヤー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”映画よ、永遠なれ”今作は、”映画界で生き残るには何でもありなんだ!”というロバート・アルトマン監督のシニカル、ブラックな映画業界に対するメッセージが込められた観る側を、見事に騙す逸品なのである。】
■大手映画会社の重役としてプレッシャーの中、多忙な日々を送るグリフィン・ミル(ティム・ロビンス)。ある日、いつものようにオフィスに出勤した彼は1通の”殺す”と書かれたハガキを目にする。その後もハガキは何通も彼の元に届き、身の危険を感じた彼はハガキを出したと思われる人物を特定する。それは、自分の脚本が採用されない事に不満を持っていたデヴィッド・ケヘイン(ヴィンセント・ドノフリオ)だった。
夜半、彼と会ったグリフィンは、デヴィッドから突き落とされた事に立腹し、逆に彼を殺してしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作では序盤にグリフィンがデヴィッドを探しに行った映画館で掛かっていた「自転車泥棒」を始めとして、名作と言われる映画のタイトルや、実在する俳優の名が多数台詞に盛り込まれ、後半にはブルース・ウィリス、ジュリア・ロバーツ、ピーター・フォークなどの名優が”映画の中で”多数出演する。
・グリフィン・ミルは、デヴィッド・ケヘインの恋人ジューン(グレタ・スカッキ)の名を使って彼を怒らせるが、それも全てミルの計算のうちに入っていたと解釈出来る。
■今作が面白いのは、虚実を織り交ぜた構成と、グリフィン・ミルを演じたティム・ロビンスの”迫真の演技”である。
又、デヴィッド・ケヘインの脚本は、ジューン曰く”ハッピーエンドを嫌っていた。”モノである事が劇中に語られるが、今作のストーリーは、正に映画ではヒットしない事が多いとされるアンハッピーエンドではなく、ブラック極まりないハッピーエンドなっているし、彼のライバルが激賞し、映画化された作品は、”アンハッピーエンド”で会ったが、実際にはブルース・ウィリス演じる男が、ガス室に送られたジュリア・ロバーツ演じる女を助け出す”ハッピーエンド”に変更されて作られ、試写室で放映されるのである。
そして、その事に”リアリティがない”!”と反発したグリフィン・ミルの且つての恋人ボニー(シンシア・スティーヴンソン)は首を宣告され、グリフィン・ミルは彼女を”君なら大丈夫さ。”と庇おうともしないのである。
<今作は、劇中にミルが言う、映画に不可欠な条件は”サスペンス、笑い、暴力、希望、愛情、ヌード、セックス、ハッピーエンド”という言葉通り、全てを”脚本に詰め込んだ”作品であり、”映画界で生き残るには何でもありなんだ。!”というロバート・アルトマン監督のシニカル、ブラックな映画業界に対するメッセージが込められた作品なのである。>