ドリフト(2000) : 映画評論・批評
2001年6月1日更新
2001年6月2日よりスバル座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
ツイ・ハーク節の骨太アクションをとくとご覧あれ
もう一歩でビデオ販売のみの憂き目に遭いそうだった本作品が、「グリーン・デスティニー」のヒットも手伝って、めでたく劇場公開。そう、この映画は大スクリーンで見るに限る。九龍城でのワイヤー・アクションあり、情け無用の銃撃戦あり、おまけに鳩まで飛ばしちゃうサービスあり。“ワイヤーに吊されている”感のあった「グリーン~」なんて目じゃない、骨太アクション大作である。
と、ついアクションを誉めがちだが、やはり監督の無茶な要求をこなしてしまった役者を誉めたい。特に元・凄腕コマンド役のウー・バイ。見た目こそ、中村雅俊主演の青春ドラマに出てきそうなバンカラ学生だが、ニコラス・ツェーよりキレのある動きを見せるのはもちろん、大物ボスを殺害して逃走するシーンが圧巻。歩きながらパッと服を着替え、カツラをかぶって別人になりすます。まるで、「ザ・シークレット・サービス」で七変化を見せたジョン・マルコビッチのようだぁ。
香港映画復活!と最近よく言われる。それは脈々と続くアクションの伝統が生きているだけでなく、ニコラスやウー・バイのような観客を引きつけるスターを常に生み出してきた功績も大きいと、本作品を見て実感した。
(中山治美)