劇場公開日 2004年7月31日

ドリーマーズ : 映画評論・批評

2004年8月2日更新

2004年7月31日よりシネスイッチ銀座ほかにてロードショー

ベルトルッチ、久々のパリ帰還だが…

まさにジャン・コクトーの小説「恐るべき子供たち」(ジャン・ピエール・メルヴィル監督が映画化)の翻案といえる物語。68年の5月革命を背景に、危うげな三角関係を持つパリのアメリカ人と双子の姉弟の3人は(小説は4人だが)、独自のルールを作り、迷宮のようなアパルトマンの部屋の中に“王国”を築いて、空想の世界を楽しむ。シネフィルから映画を取り上げると、引き籠もりのユートピア生活が待っている! 無邪気なセックスもまた、映画クイズの罰ゲームの対象、狂乱の日々である。

カメラが(トリュフォー「大人は判ってくれない」の冒頭でカメラが輪舞して捉えた)エッフェル塔をパンダウンし、ジミ・ヘンドリックスのサイケな名曲「サード・ストーン・フロム・ザ・サン」が流れるオープニングから全編“革命前夜”のムードに満ちている。「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」のスコア音楽や時代のロック音楽、名作の断片をおびただしく盛りこむ趣向は楽しい。

エバ・グリーンの匂い立つような美しい裸体はそそる。ルイ・ガレルへの少年愛的視線も魅惑的だ。だが、「ラストタンゴ・イン・パリ」で残酷なまでに美しい悲劇を仕立て上げたベルトルッチ監督らしくなく、後半になってカメラは息切れしたように“踊り”をやめるのだ。コクトーの小説では雪玉が物語を幻想的ラストへ誘ったが、窓を突き破る石つぶてが3人を現実に引き戻し、コクトーの感動に及ばない。彼に枯淡の境地はまだ早いのだが。

(佐藤睦雄)

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