Dolls(ドールズ)のレビュー・感想・評価
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バイオレンス抜きの北野映画
劇場公開時鑑賞。
当時は菅野美穂と比べて西島秀俊が見劣りするなあと思った黒歴史。何様だったんでしょう。菅野さんの鬼気迫る演技に圧倒されたのは確か。
熟年純愛パートは…いや好きだけど、ちょっと背中がむず痒くなるような。
深キョンパートは『春琴抄』が連想されたが、そう見てしまうとエロスが足りなすぎる。
やっぱりでもなんかこういうの撮るの気恥ずかしくならないのだろうか、とは思った。
名作
日本人形とか着物のイメージで、
難しそう…とっつきにくい…と思う方も、いるでしょうが、
決して、そんな事はなく、観やすいです。
誰と誰が付き合って、三角関係になって、喧嘩して、色々あって結ばれる…みたいな、
安っぽい薄っぺらい、ドラマみたいな、ラブストーリーでもなく、
もっと本質的に“愛”について描いた映画だと思います。
色んな職業や色んな境遇の人の、人それぞれの“愛”
西島秀俊さん菅野美穂さん2人だけの話ではなく、オムニバスの様になっています。
素晴らしい作品だと思う。
たけしさん天才!さすが!!と思いました。
多くの人に観てほしい名作だけど、ここでの評価って低くないです?
人を選ぶのかな?
観たあとに、色々と検索して調べてみたら、
タイトルも深いな…
浜崎あゆみさんが、この映画に感銘を受け、同タイトルの歌を作ってます。
西島秀俊さんは、この映画がキッカケで本格的に売れ、たけしさんに非常に感謝しているそうです。
ロシアでは2年間のロングラン、この映画で、たけしさんは、ロシアにおいて、確かなステータスを手に入れたそう。
邦画ギライの僕が選ぶ、多くの人に観てほしい、素晴らしい邦画。
名作です。
抑制の内に胎動するコメディ
たまには愚直な映画を撮ろう、という北野武の志をぼんやり感じた。登場人物たちは誇張的な話法で平凡な言葉を語るし、物語の山場と受け手の期待は気持ちいいくらいピタリと符合する。『ソナチネ』のような暴力的な緩急はほとんどみられない。場面と場面は言葉こそ少ないが明示的なモンタージュによって接続されていて、とにかく見やすい。いい意味でも悪い意味でも。監督お得意のアイロニーも今回ばかりは焦点が大きすぎるというか、わかりやすく大雑把だった印象。
あと、やっぱり北野武という監督はコメディアンとしての宿命のようなものを背負っているのだなとも思った。たとえば殴殺された盲人の男の血液が警察によって拭き取られているとき、うっすらと男の顔が画面に浮かび上がるシーン。あれなんか編集しながらゲラゲラ笑っていたに違いない。ラストカットの雑すぎる合成映像も同様だ。
これだけ平坦なトーンにもかかわらず、物語の随所で不謹慎にもコメディがちらつく。これはもう北野監督の抗い難き本性というか、コメディアン魂ゆえなんじゃないかと思う。思えば社会に背を向けて貧しい遁走生活を送る二人が山本耀司の洗練されたモードファッションに身を包んでいるというギャップからしてコメディそのものだ。
とはいえコメディであれば本作以外の北野映画のほうがよっぽど洗練されていて完成度も高い。この作品でなければならない理由、みたいなものは残念ながら感じ取ることができなかった。
純愛と狂気って紙一重
この映画純愛ととるか気持ち悪く感じるかほんとみる人次第だなって思った。3組ともちょっと変わってるんだけど、.
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結婚を取りやめにしたせいで彼女が自殺未遂でおかしくなってその彼女と自分を赤い紐で結んで生きるホームレスに、
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何十年もヤクザの恋人を待ち続けてるおばあちゃんに、事故で顔に後遺症が残ったアイドルに会うために自分で目を潰したファン。
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いや、全員重すぎるよ。絶対もっと他に良い人いるよ?ずっと待ってるおばあちゃんに関しては認知症でわかんなくなってるだけじゃないのかと疑うわ(笑).
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話はわりと理解に苦しむんで、この映画結構色に凝ってるからその色使いを楽しむのが一番かな。そもそも映画の3分の1は菅野美穂と西島秀俊が歩いてるだけの映像が続くしね。
北野映画史上、もっとも痛い映画。
“痛い”とは決してハズしてしまったという意味ではない。
とても心が痛くなる映画です。
登場人物三組出てきますが、
やはり菅野美穂&西島秀俊が映画の核を成しています。
他の二組はどうも尺がもたなかったため
付け加えたかのような印象が・・・。
かと言って映画全体の評価を落とすほど余計とは感じなかったです。
過去の北野作品は大抵
“ビートたけし”が虚しさを抱え、
“死に場所を求めてさまよう”という図式がありました・・・。
今回もひたすら人生に虚しさを感じ、さまよっていますが、
今回なぜ最も心が痛いのかというと
二人が主体的に何もしようとする気すら起きずに
延々とさまよっていることです。
死に場所を求める、その目的すらなく
失ったあの頃が断片的に蘇り・・・泣く。
北野監督は1年後、「座頭市」を撮りますが
「座頭市」という企画が無ければ
北野武の陽の部分が間違いなく崩壊していたのではないかと思います。
それぐらいのパワーがある作品です。
ドールズ(人形たち)の物語。
一本の赤い紐でお互いの体を結び、当てもなくさまよう男女。
老齢のヤクザの親分と、彼を何年も待ち続ける女。
事故で片目を失った元アイドルと、それでも彼女を慕い続ける孤独な青年。
3組の男女の物語を「文楽」の「冥途の飛脚」の物語になぞらえ、
それぞれの「ラブストーリー」を描いています。
この映画のタイトル「ドールズ」は、
冒頭に登場する「文楽人形」のことであると同時に、
限りなく「人形」に近い3組の男女のことでもあります。
主人公達は「文楽人形」のように無表情です。
それが逆に、「豊かな表情」を感じさせます。
この映画は「人形達(ドールズ)」の物語です。
ですから、普通のラブストーリーと思って見ると、
あまりにも「浮世離れした」物語に感じるかも知れません。
この辺りが、この映画の評価の分かれ目のような気がします。
僕は、この映画を観て、「やっぱり、北野監督は凄い」と思いました。
この映画で監督が言いたかったのは、
「愛こそ、究極の『暴力』だ。」
ということだったんじゃないかな?
そう、僕は思います。
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