「漫画は名作、映画は駄作?何度も見返しているうちに・・・」デビルマン ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
漫画は名作、映画は駄作?何度も見返しているうちに・・・
邦画、最高の駄作ということですが、そんなにひどいかな?ってのが、自分の感想です。もちろん、公開時に映画館で鑑賞した時のものですが・・・
ここのレビューも含めて、様々な分野でこの作品の酷評は耳にしてます。
確かに原作「デビルマン」は素晴らしい作品です。自分の中では、コミックスで一番大好きな作品と言っても過言でない。
その作品が、大好きな映画(それも実写として見ることが出来た)って事で、すごい嬉しかったのが先行していたと思います。
そこで、何度か見直しているんですが、その度にアラが目につくようになってきたかな。
20年以上前の作品でよくぞここまで頑張ったっていう気持ちもあるんですが・・・やっぱり体調不良や歳のせいもあるかな?花粉症で集中出来なかったのもある感じで、今回はそれほど入り込めませんでした。
駄作?そんなことはないよ、自分は楽しめた!って今までは言い続けていたんだけど・・・
気になった点をいくつか挙げると、先ず学芸会並みの主役の演技。なんでこの人が主役なの?
涼と明を双子が演じる理由もないし、そもそもサタンとデビルマンの戦う理由も明確に示されない。 デーモンが何なのかもハッキリ語られない。
デビルマンになる前の明のメークも、ひどさが目立って、ガッカリ。アニメと同じTシャツを着ているところもあったけど、どうかな?
妖鳥シレーヌの棒読み、あのコスチュームもひどかった。
茶地さを笑って見るような作品では、ないと思ってるのに・・・
画面的には、結構派手だと思います。シレーヌとデビルマンの空中決戦も、当時としては頑張ったほうじゃないかな。
牧村家が暴漢に襲われるところなんて、ホンっと鬼気迫る迫力シーンで、ここは特に一推しです。
でも、その派手な画面のわりに、原作の持つ破滅感ってのが伝わってこない。破壊された街並みなんてのもかなりいいんだけど、切なさが伝わらない。非常にもったいない一本です。
そんななか華を添えるのが、今を時めく染谷翔太さんの出演です。
幼いながらも、引きつけるものを感じます。
やっぱすごい役者さんです。
見直して思い出しましたが、この子役(染谷)と渋谷飛鳥さんが出てくるところは、主役が出てくる場面より締まる感じがする。ホンっと魅せられちゃいます。
この落差も低評価につながる要因なのかもしれない。ひどさが目立つから。
ただ、可哀想だなって思うのは、この作品って那須監督の遺作なんだよね。最期の最期に世間一般からこんなにも酷評される作品を残してしまったなんて。有終の美どころか、最大の汚点で終わってしまうなんて・・・。
監督がこの作品をどう思っていたのかわからないけど、悔やみきれないでしょうね。あの頃の技術では仕方ない?(役者もきっとスポンサーの力なんだろうね)
そんなわけで、今の技術をもってだれかリメイクしてくれないかな。
庵野監督の「シン・デビルマン」とか・・・
まぁ、酷評はされるだろうけど。
先日OVAの作品2本を見ましたが、原作には遠く及ばないものの、とてもよくできた作品でした。
せめてこのレベルの実写ができれば万々歳ですね。
原作にしても、永井先生がいろいろなバージョンを作っておられるので、どれが最高のデビルマンかは、人それぞれの気もします。
気にいっておられる(というわけではないかもしれませんが)作品に厳しい評価で申し訳ありません。
私にとっては、人生で一番の(ひどい)作品ですが、それも期待が大きかったからかもしれません。
期待して見ていなければ(また、原作も知らなければ)ただのひどい作品で終わったのかもしれません。
私はここの評価で3本だけ1をつけたのですが、この作品はその中でもダントツの一番でした。
今の技術でリメイクしてくださる監督さんがいたら、ぜひ見てみたいです。