「処女作にしてすでに完成されているマイケル・マンの世界」ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー 広谷賢次さんの映画レビュー(感想・評価)
処女作にしてすでに完成されているマイケル・マンの世界
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言わずとしれた巨匠マイケル・マンの長編映画デビュー作。一匹狼のアウトロー、裏稼業、仁義、バイオレンス、現代音楽、徹底したリアリズム……そこにはすでにマイケル・マンが描く世界のすべてがある。ジェームズ・カーン扮する中年の宝石強盗フランクは、結婚して足を洗うために街を牛耳るマフィアの危険な仕事を買って出るが、マフィアの裏切りに遭い、相棒を殺されてしまう。そこでフランクは女房と別れて、自分の家に火を放ち、マフィアの家に殴り込みに行くというストーリー。「処女作にはその作家のすべてが詰まっている」というが、マイケル・マンにもこの言葉がそのまま当てはまる。マンの代表作「ヒート」「インサイダー」も、本作の変奏版にすぎないのだ。
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