ザ・クラッカー 真夜中のアウトローのレビュー・感想・評価
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タンジェリンドリーム
21歳の時に40ドルを盗んだ罪で刑務所に入り、中でのもめごとのおかげで31歳になるまで出所できなかったフランク(カーン)。夜の仕事に精を出すあまり、女房は浮気をしていると疑って逃げていったという過去を持つ。中古車屋も順調にいってるんだから、冒頭での盗みの後に足を洗えばいいのに・・・などと思ったが、幼少の頃は施設で育ち、何もいいことがなかったフランクだからこそ、夢を見続けていたのだ。ダイヤモンドを預けた男が殺されたため、リオという裏組織のボス・レオ(ロバート・プロスキー)と知り合った。大きな仕事をしないか?と誘われたが、その場は断った。まずは泥棒の師であるデイヴィッド・オクラ(ネルソン)が刑期10か月を残しているのに、それまで持たないと医者から宣告を受けていたため、弁護士に頼んで出所させる手続きをとった。そして5か月も通ったカフェの女ジェシー(ウェルド)を口説く。そしてイエスの返事をもらった直後、レオに仕事を世話してくれと頼んだのだ。報酬は83万ドル。金庫が特注品で準備に時間がかかり、その間に養子を世話してもらったりした。この、何でも世話する辺りがレオの罠だった・・・
金庫破りのシーンはとにかく大胆。ガスバーナーやら消火器などを持ち込んでチームプレイする。ずっと相棒だったバリー(ジェームズ・ベルーシ)も手際がよい。警察からもマークされるようになっていたフランクだったが、難なく撒いて(どうやって?)仕事をこなした。終わった後でバリー夫婦たちと海岸で戯れるフランクとジェシーと子ども。このままじゃ終わらんだろ・・・と思っていたら、案の定。レオからの報酬はたった9万ドル。豪邸も買ったのに、それじゃ足りないぞ!と怒り心頭。しかし、その後にバリーが殺され、心底怒ったのだった。
ジェシーを家から追い出し、復讐の道を急ぐフランク。まずは自宅を爆破(おいおい)、連絡場所となってたラウンジも爆破、自分の中古車屋も爆破。何もかも捨てなきゃ、復讐の鬼になれない!そして、レオの邸宅に忍び込んで復讐を果たすのだが、最後にボディガードとの一騎打ちで負傷しながら銃弾をぶち込んだ・・・
人生の底辺しか知らぬ男・・・とは言っても、中古車屋は上手くいってた。無骨な口説き文句。師のために忠犬のごとく働く男。こういう異世界に住む男ってのにほれぼれしちゃうな。
(ほぼ備忘録)
ガタガタ言わずに
マイケル・マンの劇場映画初監督作。
デビュー作からすでに、映像や音楽に対するこだわりがハンパじゃない。
金庫破りのシーンには元本職を4人雇い、主人公の射撃シーンには、プロのコンバット・シューティングの指導を受けたジェームズ・カーンが完璧にものにしています。
ウィーバー・スタンスと呼ばれる、両手で銃を下に持ち半身で構えるスタイルは、その後TV「マイアミ・バイス」や、他の映画でもたまに見かけたが、 現在はアソセレス・スタンスと呼ばれる、胸の前あたりで正面に構えるスタイルが主流みたいですね。
ストーリーは、昼はバーと中古車販売の経営、夜は金庫破りという2つの顔を持つフランクが、大仕事を最後に決めるが、凄腕の金庫破りを組織が簡単に手放すはずがなく...
本作で1番好きなのは、家・仕事・妻子と文字通り全てを捨ててから殴り込みをかけるところなんだけど、フランクの短気で自己中なキャラをよく表現していて好きなシーンが、初デートに2時間遅れて相手が怒ったら、逆ギレして「ガタガタ言わずに俺と恋を始めよう」ていうところ。
今まで色んな映画の口説き文句を実践してきて、このセリフもめちゃくちゃ好きなんだけど、これだけは絶対言えないですわ(笑)
やられたらやり返す
凄腕の金庫破りのフランクは、結婚し堅気になろうとする。しかし、犯罪組織のボスは彼の腕を惜しみ、引退させまいと罠を仕掛ける…。
名匠マイケル・マンの映画監督デビュー作。1981年の作品。
マイケル・マンと言うと、スタイリッシュ、クール、男のドラマ、夜の街などを連想する。(あくまで個人的見解)
デビュー作ながらそのスタイルは既に確立されている。
ムード漂う夜の街は「コラテラル」や映画版「マイアミ・バイス」、渋い男のドラマは「ヒート」や「インサイダー」を思わせる。スタイリッシュな映像はTV版「マイアミ・バイス」の原型。
クールな作風は同じクライム・ムービー「ドライヴ」への影響も感じられる。
結婚し養子も迎え入れ、新たな人生をスタートさせたかに見えたが…生きてきた性(さが)がそれを許さない。
やられたらやり返す。今人気のドラマの台詞を借りるなら、「倍返しだ!」。
ここに、ベタな言い方だが、男の美学が炸裂する。
相手が犯罪組織のボスだろうと物怖じせず、言いたい事も言い、主張も曲げない。
こんな男になってみたいわ…と思わせるこの役に、男臭い風貌のジェームズ・カーンはぴったり。
「マイアミ・バイス」「ヒート」「コラテラル」が好きなら見逃せない。
かっこいい
処女作にしてすでに完成されているマイケル・マンの世界
言わずとしれた巨匠マイケル・マンの長編映画デビュー作。一匹狼のアウトロー、裏稼業、仁義、バイオレンス、現代音楽、徹底したリアリズム……そこにはすでにマイケル・マンが描く世界のすべてがある。ジェームズ・カーン扮する中年の宝石強盗フランクは、結婚して足を洗うために街を牛耳るマフィアの危険な仕事を買って出るが、マフィアの裏切りに遭い、相棒を殺されてしまう。そこでフランクは女房と別れて、自分の家に火を放ち、マフィアの家に殴り込みに行くというストーリー。「処女作にはその作家のすべてが詰まっている」というが、マイケル・マンにもこの言葉がそのまま当てはまる。マンの代表作「ヒート」「インサイダー」も、本作の変奏版にすぎないのだ。
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