キューティ・ブロンド : 映画評論・批評
2002年4月16日更新
2002年4月27日より渋谷東急3ほか全国松竹・東急系にてロードショー
「キューティ・ブロンド」は“対決の映画”である
「キューティ・ブロンド」は“対決の映画”である。ブロンドVSブルネット、西海岸VS東海岸、外見VS内面、Windows VS Mac、堅実VSお色気、ポジティブ思考VSネガティブ思考、レズVSゲイ、殺人VS事故――、ざっと並べただけでもこの有り様。そしてこの戦いのすべてに参戦してはサクセスして行くのがブロンド娘という仕組み。
かつてマリリン・モンローの孤独な死が発見された日以来、ブロンド崇拝の神話が崩壊されて長い年月が経つが、それまで金髪は常にみんなの憧れだった。その対極にはいつもブルネットがいたけれども、男はブロンド美人にはそれ以上の何かを期待せず、ブルネット美人にはそれ以上の何かを妄想した(最近の良い例→「マルホランド・ドライブ」!!)。
そんな紋切り型の対決に風刺を込めようとしたらコメディになった本作。何故だかアメリカのティーンに絶大なる人気を誇る、シャクレ顎のバービー人形のようなリーズ・ウィザースプーン演じるエルの、根拠のない自信に満ち溢れた前向きさに根拠のない感動すら覚える。ハーバード大学に送るビデオ論文の監督にコッポラを任命する手腕もお見事。
落ち込んでいる金髪娘たち必見のファンタジーだ。
(大林千茱萸)