「ニュース映画「サロメ」で名演遺すノーマ・デズモンド」サンセット大通り Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
ニュース映画「サロメ」で名演遺すノーマ・デズモンド
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多作な上バラエティに富んだジャンルに傑作を遺すビリー・ワイルダーは、ストーリーテラーの達人。恩師エルンスト・ルビッチと映画の王様アルフレッド・ヒッチコックを足して、さらにダークにした感じの独特な演出タッチを持っている。コメディー映画でもアメリカナイズされた明るさより、ドイツ風な暗さを感じさせます。その中で、一番の特長は、映画を愛していること、映画に携わっている人たちを大切にしていること。その一端はキャスティングだけで十分に窺える。
セシル・B・デミル監督の「男性と女性」などに主演したサイレント映画のスター、グロリア・スワンソンが演じるノーマ・デズモンドが放つ不気味さ。忘れられた大女優役を堂々と演じる誇り高きスワンソンの女優魂が凄い。同じくサイレント映画の巨人エリッヒ・フォン・シュトロハイムの冷徹と献身を兼ねる執事の存在感。さらにサイレントから活躍を続けるセシル・B・デミルが本人役で温厚な人格者をみせて、哀愁漂うバスター・キートンもカメオ出演。ユーモアを完全に排したシニカルな内幕暴露映画で”映画”を賛美するワイルダー監督独自のユーモアが素晴らしい。
ラストは、報道人からフラッシュを浴びてサロメを演じる、狂気のデズモンドに圧倒されます。ヨカナーンことウィリアム・ホールデンを殺めてニュース映画のサロメを実演する物語の結末まで、練りに練られた脚本の完全な映画化。
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