「ヒッチコックのユーモア!」三十九夜 レインオさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒッチコックのユーモア!
またもスパイの話だが、今までのヒッチコック作品はちょっと一味違っててサスペンスの要素はそんなに強くはなく、セリフにもユーモアあり面白かった。こんなにバラエティー豊かな作品があるなんてヒッチコック映画にハマり続ける!
この映画ならあんまり深く考えずに観たい。
ふざけているように笑えるところがいっぱいあって、セリフはちゃんと練ってるなあと思っちゃう。特に主人公ハネイの性格は楽天で注意深くてそんなにカッコつけたりはしないけど、それで惹かれる。特に彼のヒゲもその性格を強調するようにアレンジされているかなーw
またスパイではなくただ巻き込まれた普通の人ということで、表情で慌てる様子を上手く演じ切った感じも。
長い逃亡のシーンだけどそのユーモアとエンディングへの好奇心で支えられてリラックスで楽しかった。
中に特にハネイが警察官の窓から飛び出してくるシーンが好き。そのシーンでは教授もまた彼を追って次の展開に相応するため、その追手が着いた時点で窓の外側から彼が窮地から脱出するアクションを撮った。かっこいいし、効果的にも不思議ぐらいに部屋の中から撮るよりいいと考えちゃう。映画全体に観客はずっと彼を見ているが、たまにはこういうように距離を撮ってもうちょっと遠くから、追手の距離からのように彼を見たくなる。
またパメラという美しい女性もよかった。最初はどうしてもハネイを信じない彼女だが、観客にもイライラさせている。なんかムカツク。が、後半で偶然な場合で真相が分かった彼女は、彼に手伝うこともなって気持ちよかった。二人の関係性が手錠で繋がれることで大きく変化していくという点にも、ジェンダー的心理学的にも深いかも。
今までもヒッチコックと違って見るがいのある映画だと思う。