シティ・オブ・ゴッドのレビュー・感想・評価
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言葉がから回る
何を言えばいいのだろう。この映画を観た後で。 街を牛耳る3世代の絵巻。 だのに、フォーカスされる人物のほとんどが10代。 底なし沼。 あえて、自ら、その沼に身を投じるものもあれば、 無邪気に、目の前の手本と同じことをする者もいる。 この町の沼から抜け出す道を選んだはずなのに、つかまってしまった者。 あの時、あの場に行かなければ…。 バイオレンスに身を投じる者を追っているから、町全体がバイオレンスに覆われているようにも見えるが、 まっとうな道を選ぶことを望んでいる大人たちもいるのだが、 それでも、その人たちが無力に見えてしまうことに愕然とする。 この映画より残虐な映画はある。 やるせなさを感じさせる映画はある。 でも、時にポップに、時にコメディタッチに、それでも基本は淡々とそこに起こっていることを映し出す映画。 その演出に言葉を失くす。 それでも、幸運さが味方したとはいえ、自ら生きる道を選び取って、この町の沼から抜け出した少年が、狂言回し的な主人公であることに、一筋の光を見たいと、願ってしまう。 『トラッシュ』と合わせて観ると、良いかもしれないが、『トラッシュ』が作りごとに見えてしまうのは何なのだろう。
ガキには要注意
公開前の予告を観た時から期待大で、公開してからの鑑賞後は、そんな期待を上回る出来で大傑作だった。 サントラも最高で、今でもたまに聴いてみたり。 久々に観たが、まぁ時代と共に作品自体の影は薄くなている感は否めないし、多少なりとも説明過多な場面が気になったりもする。 実話を元に、ア然としてしまう内容に興奮して、それぞれのエピソードに飽きることもなく一気に物語にハマれるテンポの良さと、キャラクターは特に逸品。 バイオレンスを含めた様々なジャンルが入り乱れ、一つの青春モノとして楽しめる。
編集でのリズム
ハリウッドみたいな超巨額予算じゃなくても、こんなに心を動かす作品は作れる! ブラジル映画で最も有名な作品、映画の教科書のような巣tレオタイプな概念にとらわれない手法が完璧にはまっている作品。何を伝えたいのか、何をフレームにおさめたいのかが明確でリアルを切り出すことに尽力したことがうかがえる。決して、観やすい作品では二が、観始めるとキャラクターたちの行方に他人事にはなれない気分になる。 編集 この映画といえば編集。ドキュメンタリータッチな撮影を利用した、カットのチョイス、リズムの作り方、音楽のチョイスはえげつない。 まず、この作品にはメインキャラクターのロケットという少年がいるが、各セクションでロケット以外のキャラクターがメインとなり、ストーリーが進んでいくところがこの映画のすごいところだし、編集するには難しかったであろうところ。しかし、キャラクターアークが完璧で、キャラクターと視聴者の距離を映画を通してコントロールしていた。ブラジルのスラムの中での少年ギャング達の物語であるが、ギャングの一面と少年の一面でその距離を生み出していた。笑顔で銃を放ったり、すごいスピードで薬物がお金に変わっていくところでは、視聴者は彼らを悪者ととる。キャラクターと視聴者の距離は遠い。一方で、ギャングの中にも、心優しいやつ、自分の好きなことを心から愛するやつ、周りで起きていることについていけずに怯えているやつなど、人間らしい奴らがいる。その子たちも命の危険にさらされる。そのとき視聴者は、その子達へと感情移入する。「殺されないでほしい、逃げないでほしい、夢を叶えて欲しい」と。この映画のすごいところは、それが映画の中で入れ替わるということ。逃げられない状況、周りの影響などで、ギャングの色へと染められてしまう少年や、嫉妬、友情、慈悲から急に少年の心を持つギャングなど、そこがあるからここまで多くのキャラクターを理解できるし、愛し、感情移入することができる。その移り変わりには常に死が付きまとってくるから、この作品のテーマだったり、伝えたいことがキャラクターを通して伝わってくる。 リズムの作り方は、オープニングから爆発している。1つ目のシーンでこの映画の多くが伝わってくる。時代や場所、テーマなど。さらに、これまでの常識を無視した、ブラックフレームの使い方。それが写真という主人公の趣味へと繋がっていく。キャラクターの心情が一番伝わるならば、正しい方法というものはない。特にクラブでのシーンはすごかった。4つの視点がだんだんと近づいていき、クラブミュージックの店舗なのに、時間を引き延ばした編集は圧巻。あれは簡単じゃないと思った。 撮影 だからフィルムの見た目が好きだ。黒人という被写体、日差しの強い外というロケーション、スラムという環境。シネマとグラファーにとってみればなんとも難しくお金のかかりそうな状況。ダイナミックレンジ20ぐらいいるんじゃないかというほど、コントラストの強い状況、これをデジタルで撮影するとなると、ホームビデオのような感じが出るか、めちゃめちゃお金かけてやるかのどちらかだろう。今作のフィルムでの撮影はその全てを武器に変えた。コントラストをあえて残し、室内でのシャドーと太陽光のハイライトはクリップしている。しかし、フィルムだから、クリップというよりも人間の目に近い感覚。言葉で表現するのは難しいのだが、クリップして潰しているというよりも、あふれているという感じかな?ビット深度がデジタルカメラとは比べ物にならないのだろう。だから、リアルに見れる。情報が失われている感覚はなく、その照明から現地の状況を感じられるような感覚。 次にカメラの動き。基本的に本作は、ハンドヘルドで撮影されているのだが、動きまくるフレームには確実にそのショットで伝えたい表情やもの、動きが捉えられている。だから、こんなにリズミカルな編集であっても、ストーリーは前に進むし、キャラクターアークは描かれていく。特に最初のパートは多くのキャラクターが出てきて、我々外国人からしてみると混乱しかねない部分ではあるが、各キャラクターのキーとなるものや象徴的な言動を確実にフレームにおさめることで、誰のシーンなのかということを瞬時に伝えさらにはスピード感の出るハンドヘルドでリズムを作っている。 このように、演技、撮影、編集がそれぞれ完璧じゃなくても、同じメッセージや目線を持ってくるからこそ、各部門のクリエイティビティが相乗的に覚醒したのだろう。
こんな嘘みたいな話がスラムじゃ当たり前で日常なのかと思うと信じられ...
こんな嘘みたいな話がスラムじゃ当たり前で日常なのかと思うと信じられないしすごい。 悪が栄えないのは結局こういう事なんだろうな。 そして悪がなくならないのも結局こういう事。 あんな子ども達が遊び感覚で銃で人を撃ってんだから。 スラムは人としての生活というよりはもうサバンナの獣達に近い弱肉強食。 まあこの映画を観たからといって何かしようとか思ったりはしないけど、文化の違いにただ驚く。
犯罪の軽さ
犯罪の軽さ、たやすく子供に伝播するのが恐ろしい。 恐ろしいが、否定的に描いていないのが、この作品のいいところかもしれません。 銃で撃つシーンより、写真撮影するシーンの方が緊張感があるっていうのが、ある意味リアルでした。
女子供にも容赦ない"神の街"
・兄は人妻を寝取って街中の大人たちから終われて殺され、弟のブスカペはカメラに興味を持ちジャーナリストを志す ・女の扱いを知らず、字も読めない金と暴力でのしあがるギャングのボス、リトルゼvsセリーヌの縄張り争い ・リトルゼに恋人をレイプされ家族も殺された射撃の名手マネは、復讐をするためセリーヌと手を組む ・やってやられての攻防が何となく仁義なき闘いのノリ ・終盤にブスカペの先輩記者との初体験のシーンが急すぎて笑った ・ポリスの車に終われたニワトリが車輪の間からすり抜ける描写が隠喩的なショットだった ・リトルゼの最期は、捕まった警察に賄賂を渡し釈放した瞬間にガキ軍団にハチの巣にされて死亡 ・環境を変えない限り負のループは続く…
まぁ最後まで見ればそれなりに。
ブラジルでもこんくらいの映画ができるとわかった。カメラワークも絵の撮り方も結構良かった。話がドタバタしてるわりには映画としてまとまっていたように思った。 ・・・ただ、この映画を楽しめたのは私がかつてカメラおたくだったせいかもしれない。
陽気な地獄のギャングスター
スラムに生きる人々のリアルをエンターテイメントとして楽しめる。鮮烈。 漲る躍動感、圧倒的熱量、暴力的でありながら皆底ぬけに明るく爽やかさすら感じる。死が身近故の命の軽さ、躊躇いもせず息をするかの様に人を撃つ子供達は衝撃的だが、直接的描写が無いこととBGMも相まって、貧困社会の負の再生産という重い内容に反しポップに見れる。キャストも素人とは思えない演技に圧倒。最高。10年後のキャストインタビュー「City of God - 10 Years later」も是非。
今日だけで140人殺される それが毎日続く
この映画は映画としても良いですが、自分と世界を見比べるバランスを整えるトランキライザー的にも意味のある映画だと思います。 ブラジルの殺人件数は異常です。 国民の数が多いので殺人率はトップクラスではないですが 毎年50000人が殺人によって亡くなっています。 1日に140人です 僕の小学校は1学年それくらいの人数だったので たった6日で全学年が殺されていなくなってしまう・・。 もし日本がそんな国だったら? もはや平和ボケした僕の頭では上手く想像出来ません。 しかし実際にそんな苛酷な国で生まれて、今も生きている人々がいて、この映画はそういった国に生きている人々の生活や生涯の一片を描いています。 人生に対して食傷気味な日本人は、この映画を見て何か感じる事が出来ると思います。 エネルギーと迫力のある映画です。
2000年代を代表する映画
公開当時、「衝撃度」でいうと群を抜いていた作品。そして、以降も期待したその衝撃は、なかなかおとずれることもなく、現在に至っている。 00年代を代表する、今後も代表することとなる、紛れもない名作です。導入部の映像にみなぎる躍動感。殺伐とした物語の背景にある街の熱気と底抜けな「明るさ」を、すべて切り取って映画の中に内包している。映像美も特筆するものがあり、一枚の写真として成り立つ美しいアングルが随所にちりばめられている。 そして、なんといってもリトル・ゼの圧倒的な存在感。リアルな「危険度」の体現ということでいうと、映画史においても稀有な名演。仕上がりがどうなるか予想の付きにくい「現地の人間」をキャスティングし、この異様なまでの高揚感を演出した本作は、見るべき映画の代表格ではないでしょうか。
リオ五輪を前に見たかった作品。
鶏を捌く冒頭シーンから、引きこまれてしまう。 30年におよぶスラムに育ち、生きる人々を活写した群像劇。 洪水など住む家を失い、国策として強制移住させられたリオの居住区で、あたりまえのように銃をもち、生きるため強盗傷害、殺人までを繰り返す少年たちの生きざまを活写する。 警察をも買収しながら、スラム街で生きる1960年代から80年代までを描いた傑作。 原題の小説が事実に基づくというだけでなく、製作者たちの本気も終始伝わって、心の中に遠慮会釈なく踏み込んでくる。 興行成績ばかり気にして、薄っぺらい中味が多いハリウッド映画とはちがう。 製作者の決意が真っ向から圧倒的な作品、一見の価値ありオススメしたい。 リオ五輪を「ジカ熱」を理由に辞退する選手が報道されているが、実は治安の悪さがほんとうの理由ではないか? そんな、説得力もある傑作だ。
クソおもしろい!
超ーリアルなスラムのギャングストーリー。 ブラジルリオデジャネイロはマジでデンジャラスな話!ベネがはいい奴だった。リトルzはハーコーなクレージーなギャングスター!! 永遠に語り続けられる映画!!
シティ・オブ・ゴッド
単純に銃やドラッグ、無法地帯的社会の暴露動画としての面白さを感じる映画。
しかしそれ以上に、貧困や階層といったものが一つの事象として存在するのではなく、確実に再生産性を持っているということを主張し、その再生産の遺伝性を問題提起している映画であると感じた。
またストーリーのキーマンではなく第三者の視点を軸に構成することで理解しやすく、ここにも上述した再生産性を感じ取ってほしい製作者の意図が汲み取れたように思える。
終盤を冒頭のシーンとして切り取る方法は、ある種王道ではあるが、この映画の場合は冒頭と終盤の同じシーンを全く違った印象で受け取ることができ非常に効果的なケースであったと感じた。
人命デフレーション
人が簡単に殺されてく。 実話に基づく話ってのが、どうにもやりきれない感じです。 こんな環境にあって悪事に染まらないってのはかなり難しいなぁと、クーラーの効いた室内で、ポテトチップスをコーラで胃に流しながら染み染み。 ストーリー的には、とても面白かった。 事実にしてはドラマチック過ぎない⁇って思ったシーンが何箇所かあって、そこが脚色なのか気になっています。 期待していなかっただけに、凄く面白くて130分の上映時間があっという間に感じました。
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