「いい話」ショコラ プライアさんの映画レビュー(感想・評価)
いい話
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主人公のオバさんは子持ちの独身。先祖代々ジプシー生活を送っている。
このオバさんがある町に流れ着き、チョコレート屋を始めるが、
無神論者でミサには出ないわ、断食の時期に開店するわで、
土地の有力者の伯爵に目をつけられる事になってしまう。
しかしチョコレート作りの上手さや人柄から、仲間は増えて行く。
ダンナのDVから意を決して逃れて転がり込んで来たジョセフィーヌ。
孫と仲良くしたいのに、不仲な娘から遠ざけられている婆さん。
さらに船を持ち海賊のような生活をするジョニー。
特にジョニーは伯爵から完全に異端者という扱いを受けていた。
老い先短いこの婆さんの強い願いで、主人公はパーティーを開く。
そこにはジョニーも参加し、とても楽しいものとなった。
しかしこれが伯爵にバレ、伯爵は「どげんかせんといかん」とつぶやく。
それを聞いたジョセフィーヌの元ダンナが意味を勝手に解釈し、
ジョニーの船に放火し、船は駄目になってしまう。
決して悪人ではない伯爵は罪の意識を感じ、半狂乱で主人公の家へ。
何をするつもりやったか、夜中にナイフを持って忍び込んだ。
そこで見つけたチョコレートを見つけ、食ってしまう。
断食を自ら破ってしまったわけだが、主人公は優しく許す。
こうしてこの町は古すぎるカトリック思想から脱することに成功し、
新しい物や異なる思想の者も受け入れられる町へと成長した。
主人公とジョニーも結婚したみたい。
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いやー、いい話やったわ。
権力者って既得権益を守るために保守的になりがちやが、
この伯爵もまさしくそういう性格であった。
しかしズルい事をするような人間ではなく、
また人間らしい欲望や弱さも心根に普通に持っている人間で、
その心の氷を主人公ら新しい発想の人達が溶かしたのだった。
全体に感情移入できるような内容であったし、
主人公のオバさんらがなかなかいい演技をしていたように思う。