劇場公開日 2001年4月28日

「観客の力で、アカデミー賞ノミネートまでたどり着いた映画」ショコラ 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観客の力で、アカデミー賞ノミネートまでたどり着いた映画

2023年12月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

AC渡航便の機内で鑑賞。
美しい女性ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)とその娘アヌークが、雪交じりの北風に乗るようにして、1959年のイースターを前にしたフランス北部の(架空の)村に流れてきて、ショコラティエを開く。ショコラの香りと食感、独特の味付けは、すぐに村の人たちを魅了するが、村長のレノ伯爵は、ヴィアンヌがシングルマザーであり、彼が実質的に主宰している教会に寄り付かないことから警戒する。まるで、中世の「ハーメルンの笛吹き男」のように。一方、やはり村に流れてきたジプシーたちはショコラティエになつき、とりわけイケメンのジョニー・デップ扮するルーは、ヴィアンヌと恋仲になる。やがて、店を貸してくれた老女アルマンド(ジュディ・デンチの名演)の誕生パーティーが屋外で開かれ、好意的な村民もジプシーたちも踊りに参加する。その時、ショコラティエをよく思わない村の男がジプシーの船に放火、大混乱に陥る。ヴィアンヌは、アルマンドを糖尿病で喪ったこともあって落胆してしまい、いやがるアヌークの手を引いて村を離れようとするが、その時彼女が眼にした光景は、ショコラに魅せられた村人たちが、ショコラ作りに打ち込む姿だった。伯爵は、ひそかに思いを寄せていたアルマンドの娘で未亡人のカロリーヌまでが、ショコラティエに通ううちに彼女の息子が成長したことに気付き、自分もまた出入りするようになったことに愕然とする。孤独感を深めた伯爵は、ある夜、ショコラティエに押し入り、イースターのために準備されていたショコラを叩き割る。その時、飛び散ったショコラの破片が、偶然、伯爵の唇に触れ、ーーー。最後に、アヌークにしか見えないカンガルーが、村の街路に消えてゆくところがとても印象的!
この映画は、最初は単なるファンタジー(おとぎ話)と捉えられたのか、米国では限定公開でスタートしたが、翌月には拡大上映され、やがてはアカデミー賞部門賞にノミネートされた映画であることが知られている。

詠み人知らず