チキンラン : 映画評論・批評
2001年4月1日更新
2001年4月14日よりみゆき座ほか全国東宝系にてロードショー
アードマンのクレイアニメ最新作。今度はチキンが空を飛ぶ!
この10年、ストップモーション・アニメの世界は、圧倒的に英国がリードしてきた。その中心的な役割を担ってきたのが、アードマン・アニメーションズである。このスタジオが生み出す数多くの短編作品は、世界中の映画祭やコンクールで賞を得てきた。筆者自身、1990年の広島アニメフェスティバルで、初めてニック・パーク監督の「ウォレスとグルミット」を見た時の衝撃は忘れられない。この活躍に目を付けたのがドリームワークスSKGで、早速長編5本の制作計画がスタートし、その第1弾となったのが「チキンラン」である。監督はパークと、同スタジオで「アダム」「どっちが豚!?」という作品を手掛けたピーター・ロードで、両者はこれまでもCMなどでコンビを組んできた。今回の手法は、人形の体内に金属製の骨格を入れて身体を動かし、顔の表情は置き換え式で行うという、伝統的なものである。だが、撮影前に3DCGによるプレビジュアライゼーションを行ったり、一部にCGキャラクターやデジタル合成も用いるなど、新技術も積極的に導入している。スタッフは総勢180人で、人形のサイズは5cm程度のものから、大きなものでは幼稚園児ぐらいもあった。85分という時間をあきさせない、完成度の高い作品に仕上がっている。
(大口孝之)