「猿は日本人」猿の惑星 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
猿は日本人
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総合65点 ( ストーリー:55点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:65点|音楽:65点 )
わずか2000年で猿が急速に知的生命体に進化したばかりではなく、文明を築き銃すら持っている。そしてどういう理由なのか言葉を全く喋れない地球にいた人間たちのわきで、猿が英語で喋って宇宙旅行から帰還した人間と会話をする。一体どこの英会話学校でそのとても綺麗な聞きやすい英語を習得したものなのか問い詰めたいところだ。世界中どこにでもあるであろうそれ以前の文明の遺跡だって殆ど残っていない。
こんなにもいい加減で雑な設定を強引に物語にしてしまうのには唖然とするばかりだが、人間が下等生物と見下していた猿に逆に支配されている世界に足を踏み入れるという主題がとにかく強烈な印象を残す。有色人種を見下して支配していた白人が、第二次大戦中のベトナムで、進行してきた有色人種の日本人に逆に支配されたことがこの話の基になっている。
それを知った上で今回は観ていると、映画の中の話だけでなく当時の支配層である白人が実際に感じたであろう衝撃が伝わってくる。それはまさに天地がひっくり返ったような感覚だろうか。さらにはその世界を形成した真実を示す結末の場面が、どうしようもない絶望感をもたらすのがさらなる衝撃となった。
途中途中の雑な設定には確かにくだらないし突っ込みどころだらけなのだが、当時としては主題が斬新で衝撃的であったことはわかるし、今観てもそれはある程度感じられる。猿の衣装もこの当時としては健闘しているし、見た目からくる印象も強かった。主題の衝撃が物語の粗い部分を上回って楽しめた。
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