さらば、わが愛 覇王別姫のレビュー・感想・評価
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愛憎溢れる人間ドラマ
3時間近い長い映画ではあるが,最後まで魅せてくれた。
2人の貧しい子供が京劇の養成所で厳しく訓練されて成長し、売れっ子の役者になる。
覇王の愛妃になりきり、現実にも覇王を求める蝶衣がなんとも切ないのだ。
中国の近代史を観ているような映画でもあり,その中で中国の熱さ、ギリギリに生きる人々の激しさの中で彼らは本性を剥き出しにしていくのだ。
京劇,中国の伝統芸能の深さはちょうど今話題の国宝にも繋がる重みがある。国宝が血と才なら、こちらは愛憎と人間らしさを感じた。
レスリーチャン,素晴らしかった。
芸の道も愛の道も激しく険しく美しい
壮大な愛の物語であった。
まさに命をかけた愛の日々だったわね。。
愛で救われ、傷つき、失い、また救われての繰り返し。
時代と芸の道に翻弄され続けながらも生き延びられたのは、彼がいたから、なのに。
京劇の美しさはいうまでもなく、一番憎いけど一番相手の気持ちがわかる二人の激しく燃える嫉妬の炎が美しかったわ。
彼女たちにとっての彼は間違いなく生涯唯一の人だろうけど、彼にとっての彼女たちはどっちだったんだろう。
母の狂気も含めて、子ども期の修行と呼んで良いか迷う過酷な成長期があまりにもしんどく、成長後も改革期の不安と緊張、壮絶な暴力、観てるだけで心がやられてしまって疲労感が半端なかった。
凄い時代だったわね。。
新しい時代になる前の、全ての血肉までも入れ替えて生まれ変わるような、激しい脱皮の時期だったのだろう。
新しい世代では自分が習ってきたやり方すら古くなり受け入れられず反発をよぶ、それはいつの世の変化の代もそうだと思うけど、ここまで過激な命の危険を感じる代替わりも滅多にないだろうな。
いや、そもそも新しいものが京劇と呼ばれるものであるかは別として。
なんかとにかくとてもとても壮大で、これ以上ないくらい重く激しい愛を観たわよ。
素晴らしい作品だけど若い人にはハードルがあるかも
「国宝」とこの作品を比較するようなレビューがあったので気になって観てみました。
なるほど素晴らしい作品です。
国宝が伝統と血統に翻弄される話ならこちらは時代に翻弄される話。
中華圏のこういった歴史映画には日本の映画からはなかなか得られないものがあります。
ただ、今回10代の娘と一緒に見たのですが、若い子には長いのがつらいようで途中で3回ほど休憩を挟みました。
それと冒頭の児童虐待とも取れる映像の数々が衝撃的過ぎるようです。
確かに今の感覚では「こんな表現いいの?」と思ってしまうようなものかもしれません(しかし作品の基礎となるものなので重要です)。
中国の近代史もさらっとでも知っておかないと途中で混乱してしまうかもしれません。
ご覧になる方はその辺りを踏まえてみてください。
見事な作品だが、時間が長すぎる。
BSで録画視聴。
1920年代〜1970年代の中国歴史を垣間見る事が出来良かった。京劇俳優から見た中国は新鮮。色々、考えさせられる。カンヌのパルムドールを受賞しただけの事はある。
ストーリーも良かった。ただ、惜しむらくは時間が長い。これが残念。
芸術的でありながらエンターテイメント性のある映画
4Kで劇場で鑑賞。
好きな映画で、93年の公開時見て、それまでの中国映画らしくなく深みのある映像で洋画を思わせるクオリティにびっくりした記憶が。日本映画は越されたなと。
今回見ると、スモークを焚いているシーンがほとんど(外も内も!)。リドリースコットのよう。重要な場面は必ずと言っていいほど焚いている。当然画面構成が素晴らしい。で、効果的に主役3人のアップが挿入される。
シーンシーンが、一幕もののように象徴的にまとめられていて、それをぶつ切りのようにつなげる構成。これが生きている。(京劇みたい?)
いつもクライマックスを見せられている感じ。
で、ラスト、潔い終わり方。
芸術的でありながらエンターテイメント性のある映画。
話の内容は、主要3人(レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リー)の三角関係。1920年代から1980年代の中国で、時代に翻弄された3人を描く。「フォレスト・ガンプ」と同じ構図。
ただ中国でよく作られたなと改めて思う。体制批判的なのに。
レスリー・チャンは、鬼気迫る演技で、自殺は残念だったけど、納得してしまう。繊細すぎるのかなと。
コン・リーは、この頃は確かに百恵ちゃんに似ている。レスリー・チャンの繊細な人工的な美しさと、コン・リーの「本当の」女性の色気と美しさ。この対比がいい。
現像は「東京現像所」だった。この現像所は2023年に閉鎖した。フィルムの時代の終焉。4Kレストアなどデジタル系作業は、東宝のスタジオに移るので、無くなったわけではないけど。
チェン・カイコーはその後も何本か見たけど、あまり印象に残るのはなかった。
また見直してみようと思う。
こんなのパルムドール取るに決まってるだろ!
自宅で鑑賞中、思わず「こんなのパルムドール取るに決まってるだろ!」と叫んでしまいました。まさに中国映画の金字塔。堂々たる大作にして傑作です
鑑賞して驚いたのは、本作がその壮大なスケールにも関わらず感情移入しやすい等身大のドラマである事。物語はやがて京劇スターに上り詰める主人公二人の幼少期から始まる、いわゆる「バディもの」「スポ根もの」のツボを押さえた作りです。娯楽性に富み、かつ最後までこの二人の人生を追いかけるので非常に見やすい!
美術、撮影、演技のクオリティは極めて高く、目まぐるしい変化を続ける激動の中国と伝統芸術の両面を堪能出来る仕上がりです。歴史ドラマとしての深み、感情移入しやすい人間ドラマ、視覚的な美しさ、そして余韻を残す読後感。全てが見事に調和した本作は、まさに傑作と呼ぶにふさわしい。出来ればもう一度、今度は劇場で見たいと思わせる作品でした
【全世界に対し政治は制服されど、文化は征服されず固有文化である京劇が伝る様を描いた逸品。小豆子は女役、石頭は男役として「覇王別姫」で共演し、スターへと上りつめる魅力を伝えた作品。】
■1925年の北京。
孤児や貧民の子が集まる京劇の養成所に入った少年・小豆子。
いじめられる彼をかばったのは、兄のような存在である石頭だけだった。
成長した2人は、小豆子は女役、石頭は男役として「覇王別姫」で共演。スターへと上りつめる。
◆感想・・になってません。
・学生時代に中国を3カ月放浪したが、京劇を見るのは大変苦労した。チケットが取れないのである。
で、粘りに願ってチケット入手。日本でも歌舞伎座の席を確保するのは、裕福な叔母様方である。
・今作が面白いのは、京劇の養成所に入った少年・小豆子を始めとした見習いたちが厳しい修練を受ける様であろう。
ー 今で有れば労働基準法に引っ掛かるであろう。-
・そして、大人になったレスリー・チャン、グォ・ヨウが京劇で踊り舞うシーンは、きっと海外の著名監督達を惹き込んだのは、間違いないであろう。
<今でも、面々と続く京劇、及び日本であれば歌舞伎と狂であろうか。
今作は、貧しい出自ながらも、京劇に依り人生を開いて行った少年たちの物語である。>
新文芸坐
いわゆる京劇と呼ばれるタイプの映画。
今年435本目(合計1,085本目/今月(2023年12月度)36本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
今日はこちらの作品が見たくて、いわゆる年末年始の休みをとって実現しました。
インド映画でもないのに3時間級ってどういうことなんだろう…と思ったら、京劇(中国における古典的な演劇の類型をいう)なのですね。
映画の中の字幕がかなり丁寧とはいえ、20世紀に入ってからの中国がたどった歴史をある程度知っていることが前提になる作りなのかな、という点は否めません。これら難しい語句についても原則として特別の補助字幕が付くことはないし、基本は京劇7割といったところがあるからですね(なので、京劇の見方の入門編みたいな感じでも推せる…が、3時間級…。京劇系ってどれ選んでも3時間級なんでしょうか…)。
まぁしいていえば高校世界史の日本から見た場合の第一次世界大戦以降の中国大陸がどうであり、また戦争を経てどのようになったのかといったことに関する知識があると有利です。一方、映画は「作品を見せる」ことを優先したため字幕が抜けているであろう点もありますが、京劇パート等で出てくるセット舞台(?)に漢字が書いてある場合、ある程度類推ができるという有利な点もあります。これら踏まえてどこまでの扱いとするかは個々分かれそうといった感じです。
個人的には休みを調整してまで見た価値はあったと思うし、俗に「3時間級映画」の代表として言われるインド映画「以外」にも「この手の長い映画があるんだ」ということ(京劇ということはある程度は知っていたが、見たのは本作が初めて)を知ることができたなど文化の吸収という概念が大きいです。
なお、採点上特に気になる点まで見当たらないのでフルスコア切り上げにしています。
・中国史に興味があったので楽しみにしてみた ・シネリーブル梅田マナ...
・中国史に興味があったので楽しみにしてみた
・シネリーブル梅田マナーの悪い客(音ビニールカサコソ)3時間 受付の人に上映後苦情同情してくれて言ってよかった
・中国文化の厚さしょっぱなからすごい(芸人千鳥の大悟のような子供たち人人人)でもこの監督チェンカイコ―(撮影監督チャンイーモウ)二人とも(中国第五世代)文革の時に青春時代を送り父母や上の世代を否定し下放で労働また戻って体制側(共産党) 彼らに筋など期待しては無理なのだ 彼自身混乱のただなかにいるのだから(アル中カサヴェテスの千鳥足のように 最後はイメージビデオのようだった) 彼らの作る映画のあらすじはちょっと眉唾物として距離を置いてみること ただ彼らの作る画面から出てくる文化を楽しむ
・ブログ素人の映画館感想サイトあてにならない 袁世凱自身だと勘違いしてる 同姓だが別人だろう
・レスリー・チャンよりももう一人の男チャン・フォンイーに惚れた 芸人パンサーの尾形みたい 愛情深い男そのもののような役者さん 違う映画で曹操役してる!似合いそう
・すごい中国の文化の中で京劇はかなり底辺の娯楽のような でも劇の中で評論家いる 役者から煙たがられている存在
・愛とは重たい物 重い女は嫌いってことは好きじゃないということ 好きだったら重さが嬉しいし負担に感じない
マイ・ベスト・ワン。それぞれの愛の行く末に胸を打たれる
マイ・ベスト・ワンの映画が、製作から30周年、レスリー・チャンの没後20年ということで4K版が公開、となったら観に行くしかない。
4Kはそこまで鮮やかという印象ではなかったですが、109シネマズプレミアム新宿で鑑賞したこともあり、音響が美しく、銅鑼の音が響いたときには感動で鳥肌が立ちました。
幼少期の頃から折檻が当たり前の厳しい稽古を重ね、京劇の大スターとなって、もはや演じることでしか生きられない程蝶衣と段小樓。
そこに襲いかかる第二次世界大戦、文化大革命と近代中国の大きな歴史のうねりの中で翻弄される主人公たちの生き様と、それぞれの愛の行く末、人間の強さと弱さに胸を打たれます。
蝶衣のレスリー・チャンが妖艶で儚げで、とにかく美しい。何かが憑依しているような、神がかったような演技。
何度見ても素晴らしい映画。映画館で観ることができて本当に良かった。
引き込まれ過ぎてあっという間の3時間‼️
【2023/10/12✩⃛初回観賞】 評価:4.2
【2024/09/14✩⃛2度目観賞】 評価:4.2 ➡︎ 4.2
心から信頼し愛した男だったらば、あんな風に自分を裏切り、器の小ささを見せてきたとしても11年経ってもまた会いたいと思うもんなんだろうか……最後とゎいぇ。
そんなになるまで愛し抜いてみたいゎ〜
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『因果応報』……
それにしても目まぐるしく『移りゆく』時代を『伝統的で変わらない』京劇の観点から捉えるという非常にわかりやすくかつ美しい映画だったー✨✨✨
人間の心の弱さだったり、普遍的なもの、不変だと信じていたものにあっさり裏切られることもあるということ、自分が変わらなくとも外部要因が変わるだけで立場が大きく変わることがあること、その最たるまのが戦争なんだということ。今話題のジャニーさんみたいなご老人が出てたり、覇王がイノッチと坂本くんに似ていたり、見所は他にも様々😂
レスリー・チャンって初めて観たけどお化粧後の姿があまりに麗しくてビックリしちゃった💛中華の歴史をもっとちゃんと知っていたらより一層理解が深まったのかな〜。『人肉を軍用犬に食わせる日本兵』とか💦💦💦
欠点のないのが欠点!?
コレは驚いた。
脚本、役者、映像表現全てが融合していて、
タイトルの評価となった。
名ばかりの中華民国(北洋軍閥支配下)の北京から、文革終了までの動乱の時代、そこを生きた京劇役者の話しといえば簡単だが、そうはいかない。長回しこそないが坦々とした映像表現、古典的なライティングや場面変換方法。今の流行り言葉でいうと完璧な伏線回収。とにかく上映中は画面と音声に釘付けとなった。米アカデミー賞を貰わなかったのが不思議である。
中国映画の致し方ない特徴として、映像表現における政府当局との腹の探り合いがある。
主題の男色や、侵略者、漢奸狩り、新中国成立後の絶え間ない政治闘争…。表現にギリギリのせめぎあいがあったものと思われる。それらを含めて見事に映像作品として破綻せずにまとめ上げた手腕はなかなかのもの。人に「面白い映画を見たい」と問われたら、本作を真っ先に挙げるだろう。日本軍の行儀の良さを褒めて問題になるシーンがあるが、日本にも歌舞伎や初期の無声映画では女形が存在するので、日本人も行儀よく受け入れたのだろう。
逆に中国の諺「良い鉄は釘にならない(良い人物は兵隊にならないの意)」を具現する、国民党軍の無秩序、紅軍の野暮さにはアーティストとしては耐え難かったのだろう。
チェン監督の最近の日本公開作は朝鮮戦争モノばかりだが、早くまたこのような文芸歴史大作が撮れる様になるのを願うばかりである。
30年ぶりに見て更に感動した 画質は普通
1994年、大学生の頃に見た当時は初めて触れる京劇の魅力とレスリー・チャンの美しさにただただ引き込まれた。あれから30年。仕事の駐在で、習近平政権下の中国で数年間暮らした。ただの明るいひょうきん者と思っていた中国人が、じっくり話してみると文革で全財産没収され飲まず食わずの子供時代を送り身内を殺されていた過去を持っていたり、私自身も外国人という理由で駐在中は四六時中、公安に尾行されたりという体験をした。21世紀の今でさえそうした現実に直面することを知った上で、改めてこの作品を見ると、胸にせまってくる苦しさ、辛さ、かなしみが圧倒的に違った。 また、中国で暮らしてみて、中国人と言うのはその時その時の湧き上がる感情を優先した行動を取り、時にそれは日本人には理解し難い矛盾に見えるが、本人たちは決して裏切ったとか見捨てたとか思ってるわけではない、というのを肌感覚で理解(注:共感ではない)したので、その感覚を持って見るとこの作中の登場人物達の行動も気持ちもとてもすんなりと入って来た。 この先の人生でも、定期的に繰り返し見たいと思った。 リマスター版だが、画質はそこまで鮮明ではなかった。でもその方がいいかも。
舞台での史上の愛は虚構か否か
軽い気持ちで観に行ったらどえらいものを観てしまった。3時間があっという間でエンドロールが終わってもすぐに椅子から立つことができない。
レスリー・チャンが人間離れした美しさで息を呑んだ。
盧溝橋事件から文革までの時代背景がわかると理解が深まるだろう。「四面楚歌」などの古事の由来も。
生き抜くために権力者に媚びようにもこれだけ為政者がころころ変わるなかで、昨日の権力者が今日の囚人、今日の仲間が明日の裏切り者となりどこまでも翻弄される運命の厳しさよ。
少年たちにほぼ虐待のような訓練や性接待をさせる京劇の世界と、出世してそれを内面化する蝶衣の胸中を思う。
昔、舞台上で恋人たちの役を演じたことがある。相手役が自分に向ける目線が愛する人に向けるそのもので、舞台を降りてこらまたその目を向けられたいと思っても、そこには演じていた役者がいるだけで二度と会えないことを知って寂しくなったものだ。
例え虚構とわかっていても、舞台で史上の愛を知ると現実に帰れないことがある。だがその全てが虚構だったのか。確かにそこには妻であっても、他の何者であっても介在できない関係が存在していたのではないか。
ラストの小楼が蝶衣に向ける目線からそんなことを思う。
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