さらば、わが愛 覇王別姫のレビュー・感想・評価
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圧巻の時代絵巻に圧倒されました。レスリー・チャンの演技や美しさに息を飲みました。
レスリー・チャンが好きでした。公開当時観に行った時にはただただ圧巻の時代絵巻に圧倒されました。レスリー・チャンの演技や美しさに息を飲みました。久し振りに観てもその印象は変わらない。寧ろ強くなった気さえする。惜しい才能を無くしたものだと今更ながら残念に思う。 🎦君さえいれば/金枝玉葉 🎦ボクらはいつも恋してる!金枝玉葉2 🎦夢翔る人/色情男女 🎦ブエノスアイレス 好きな映画が多すぎる。もっともっと観たかった。
やっぱ、凄い。映画館で見れて良かった
映画の中で一番好きというより、最もインパクトが有り印象に残っている作品がこの映画だと思います。自分の映画の指標、基準になっているのかもしれません。
一つの映画の形として「映画ってこういうものだよね。」って思います。
張り詰めた画、上手い役者、音楽、脚本、構図、演出。それらが自然と映画への集中を強いります。どこからともなく湧き上がる緊張感が半端ないです。
この作品を見て思うことは「緊張感は人の目を釘付けにする」です。
3時間弱という時間を余り感じません。完成度が凄く高い作品だと思います。そして今回鑑賞して構図の妙、演出の巧みさを再認識しました。
今だに分からないことだらけですが、今よりもっと気づきの少なかった昔の自分も、こういう洗練された巧さを何となく感じていたからこそ、とてもこの作品に惹かれ、今でも印象に残っているのではと思いました。
そういうもの上に、矛盾や愛憎に振り回される弱い存在である人が、理不尽で不条理な世界に抗えず流されながらも生きて行きていく、辛さ、切なさ、悲しさをとても印象深く丁寧に描くチェン・カイコーはやっぱり凄い監督だと思いました。
この映画は今向きではない作品だと思います。なんせ不親切。時代背景などある程度の知識を持っていないと、何でこうなっているのかが分からないです。それをほとんど説明せずにどんどん進んで行きます。ですが映画自体の持つ力が、とてつもなく強いので、分からないながらも、どんどん映画に引き込んでいってくれます。
昔、知人にこの映画をオススメをしたら「よくこんな映画観るな~。これ勧めるって、やばいちゃうんかと思った」って言われたのを思い出します。そんな決して万人受けする映画ではない映画です。ですが、とても良い素晴らしい作品だと思います。本当に。
あと、池江璃花子を初めてテレビで見た時に「この人、何か見たことがある」と思ったのは、少年期の小豆に似てるからやったのか~と思いました。
レスリー・チャンが存命ならどんな役者になっていただろうと思うと切なくなります。
レスリー・チャンの美しさに惹かれ、まさに歴史に翻弄される
タイトルから、ラストエンペラーのような壮大な話かと思っていたが、時代に翻弄される部分は共通してはいるものの、より個人に注目があたった作品であった。
なによりレスリー・チャンが魅力的である。劇中の人々がみな惹かれるように、観客もその姿に釘付けになる。
役者は私生活との区別がつかなくなると言うし、レスリー・チャンも自死を選んでしまったが、その構造が作品にも表れている。だからこそ作中の京劇も魅力的にうつっているし、この映画も目が離せない。
映画、表現というものを改めて考えさせられる作品である。
また、京劇というものをよく知らなかったが、その魅力と中国の近現代史における扱いを身近に感じることができた。
2023年劇場鑑賞85本目
この重厚感 唯一無二。
レスリーチャンの一挙一動に魅力された
京劇養成所に入れられた小豆子。母に容赦なく捨てられたことから愛に飢えていたのだろう。だから、常に助けてくれる石頭への思いは慕うことだけでなく愛情へと変わるのも無理はない。
養成所でのあまりのスパルタっぷり、洗脳に近い上下関係は今では大問題。
スターとなった二人だが、恋敵のコンリーの登場と時代の変化に翻弄される。
レスリーチャンの妖艶さは異常。小豆子は役に取り憑かれていると言われるがレスリーチャン自身が取り憑かれているように感じた。
小豆子の視点で見てたから、コンリーに対して略奪婚しやがってとぇとヘイトが溜まっていった。しかし観ているうちに小豆子の脆さに寄り添う姿も見せ、一番人間らしくて最後は好感が持てた。
文化大革命での京劇の弾圧によって屈する姿は見ていてあまりに悲痛な気持ちになった。
激動の時代に翻弄されたどり着いたラストは役に生きた小豆子を見事に表現していてさすがと思った。
ちょっとシーンが急に変わってぶつ切りに感じてしまう部分もあったが、観て本当に良かった!
京劇を初めて知りました
中国を舞台にした京劇俳優の半世紀の生き様を描いた物語。レスリー・チャンの妖艶な映像が印象的で激動の歴史を感じる作品。京劇はこの作品で初めて知りましたが個人的には内容が理解し難く残念ながらこの作品を良さを感じる事が出来なかった。
2023-129
芸に生きるとは
1995年に初めて劇場で観た時は、感動(と充実した疲労感?)ですぐには席を立てませんでした。映画はたくさん観てきましたが、一生心に残るだろうなと思える作品はそう多くはありません。そんな名作を、去年に続き今年も劇場で、きれいな映像で観られるとは本当にうれしいことです。
この作品では「激動の時代に翻弄された京劇役者と周囲の人々の物語」という一言の説明では到底伝わらない、時代の空気や生活の生々しさと複雑な人間心理が、時間をかけて丁寧に描かれています。京劇の舞台の美しさと迫力と、その確かな芸・技術が子供のころからの厳しい修業の賜物であることも。修業がいやで逃げ出した少年が、すぐれた俳優の舞台を観て「彼はこうなるまでにどれだけ殴られたことだろう!」と涙する場面には胸を打たれました。
その後も登場人物たちの身に起こるさまざまな出来事に(共感するだけに)振り回されて、一緒にヘトヘトになる展開が続くのですが、今回私が一番感じたのは、京劇という舞台芸術にかける人々の思いです。
レスリー・チャン演じる主人公の俳優が日本軍のために演じたと裁判にかけられる場面で、京劇のスポンサーである人物が「我が国のすぐれた伝統文化である京劇を、いかがわしいとは何事か!」と一喝するのに感動し、また主人公が「日本軍は憎いけれど、彼らは自分に指一本触れなかった」と証言するのにも、保身のために周囲に流されない京劇への確固たる愛を感じました。まぁ結果的にそういった言動が彼らをさらに苦境へと押し流すのですが。
文化大革命の描写は何度みても本当に恐ろしく、こうやって多くの人々が暴力と吊るし上げで破壊されていったのだろうなと実感します。古き良きものが存在を否定されて、多くの伝統文化も途絶えてしまったのではないでしょうか。
もし戦後の中国が共産主義でなかったら、とふと想像しました。古代の日本がお手本にしたすぐれた文化大国には、広大な国土に多種多様な地域民族・伝統文化と歴史があり、まぁ王朝が変わるごとに絶滅するものもあったにせよ、現代の歴史家が政治の顔色をうかがわずに自由に研究・発表できればさぞかし歴史学業界は大賑わいで興味深いことでしょう。文化大革命がなかったら、歴史的に貴重なものももっといっぱい残っていたのだろうなぁと思うととても残念です。
また同時に、現代のネットの悪口社会は、この文化大革命に似た恐ろしさがあるように感じました。自分と異なる価値観や意見に対して、堂々と議論するのではなく、顔や名前を出さずに(集団にまぎれてリスクを冒さず軽い気持ちで)攻撃できて、時には相手に回復不可能なほどのダメージを与える。攻撃される側はきっとこの映画のティエイー達と同じような苦しみを感じるのだと思いました。
観る人によって印象はさまざまでしょう。いろんな角度から、いろんな見方を楽しめる、非常に味わい深い作品だというのは間違いなし!
私も最初に観たときは、登場人物たちの愛憎劇というところに注目していました。時間をおいて何度も観て、自分の感想の変化を研究するのもいいものですね。
観る人を選ぶ映画
京劇「覇王別姫」を演じる2人の愛憎と人生を、1925年から1970年代末までの中国の動乱の歴史とともに描いた作品です。
タイトルにインパクトがあるので、昔から作品の存在は知っていたものの今に至るまで未鑑賞でした。主役を務めたレスリー・チャンの没後20年を記念して4Kレストア版が上映されていることを知り、鑑賞してきました。映画.comのレビューでは4.4という驚異の高スコアですので期待は高まります。コメントを全て読んだらネタバレに遭遇するかも、という微妙な心理が働き、ほとんど予習することなく鑑賞しました。
決してつまらない映画ではないのです。しかし、前提となるいくつかのこと、特に中国の歴史を学んでから鑑賞すると、また別の感想を持ったかもしれないなと感じました。この作品を、程蝶衣(小豆子)と段小楼(石頭)の愛憎、菊仙を交えた愛憎劇と捉えると、この映画の半分も味わえていないのではないだろうと思うのです。日本による占領、中華人民共和国の建国、文化大革命、これらの後ろにある思想・価値観の変遷をある程度理解してから観ると、それぞれのシーン・セリフが持つ意味合いをより深く理解できて、もっと感銘を受けることができたかもしれません。そんなこと知らなくても、レスリー・チャンの美しさがあるから十分という意見もあるでしょう。しかし、私の周りでは眠っている人もチラホラいました。
要は、観る人を選ぶ映画だな、と思うわけです。
よく中国がこの内容で
時代に翻弄された京劇役者の人生
母に捨てられ、京劇の養成所に入れられた小豆子は、よくいじめられていたが、そんな彼をかばい、つらく厳しい修行の中で助けとなった兄のような存在が石頭だった。成長した2人は大王と姫の役で京劇界の大スターとなった。石頭は遊女の菊仙と結婚し、小豆は彼氏を取られた気分になり・・・てな話。
1993年公開で、30周年を記念し4Kで修復したとのこと。
戦前に日本が中国を占領してた時、国民政府が政権をとっていた時、その国民政府が共産党に負けて台湾に移った後、なと彼ら2人は時の政権に翻弄され持ち上げられたり、落とされたりと大変だったのはわかった。
文化大革命で毛沢東は中国を批判する人々を2,000万人とも6,000万人とも言われるほど処刑してきた中国共産党なので、こんなことも普通に有ったのだろう、という感想。
自分の命を助けるために人を陥れる、これも普通に、今でも有るのだろう。
石頭に裏切られた菊仙が一番かわいそうだった。
レスリー・チャンは歌舞伎の女方のようで、さすがの演技だった。菊仙役のコン・リーは可愛かった。
世が世なら
世評が定まった見逃し作品の一つ。ようやく機会を得て劇場で鑑賞。2K上映だったらしいけど気にならず。
芸道に児童福祉は適用されない。カンフー映画にもよく似た少年たちの壮絶修行シーンが登場するけど、そこは良識あるチェン・カイコー、ズームは一切使わず、ドリーとステディカムで古い伽藍の中のアクションを捉えていた。
京劇という伝統芸能の価値観が時代とともに乱高下する。役者たちの日本軍、国民党軍、人民解放軍それぞれへの見方も興味深い。革命を支えるのはいつだって若い世代。彼らには伝統など無価値だし、唾棄すべきもの。造反有利って、いやはや、言うたもん勝ちやなー。
日本でも50年代に共産主義革命が成立していたら、能や歌舞伎も自己批判の矢面に立たされていたのだろうか。世が世なら、と思わずにいられないのは、政治システムの狭間で憂き目に遭っている人々が大勢いるためだ。台湾にも香港にも、朝鮮にもロシアにも。
しかしオープニングとエンディングの演出には疑問が残る。予算が尽きたか?
公開30周年、レスリー・チャン没後20年、再上映
京劇に全く興味なく、中国映画にも興味ないので、最初は観る気なかったのですが、評価が高いので観てみました。
日中戦争前から始まる物語で日本は悪的に描かれていて、噂に聞く抗日映画っぽく、ウサンくさく思いかけましたが、
まあ許容範囲かな、プロパガンダ的な映画じゃない、
中華視点から観る当時の日本は、日本人として勉強になります。
この映画は、中国、香港、台湾、の合作です。
途中から、評判ほど良くないな…ビミョーだな…と思ってたけど、
そんな気持ちは、最後で、ひっくり返されました。
終わり方が秀逸、なるほど…と。
最後まで観て、もう1回観たくなった。
京劇と京劇役者を変わりゆく時代と共にスケール大きく壮大に描く映画です。
京劇を実際に目の前で観ている感覚にもなれるので、映画館で観たい、映画館で観るべき、演劇的な映画だと思います。
映画館で上映されたら、ぜひ映画館で!!
PS.172分の長さは体感的に気になりませんでした。
レスリー・チャン!
別格
絶対的に星5。
こんな映画があるとは…知らなかった。
京劇という芸術も知らなかった。
リバイバル上映に感謝。
約30年前に上映された映画で、それなりに古い映像なのだろうけど、そんな事関係なく美しい。
政治・時代に翻弄され、目を覆いたくなるような暴力や残酷なシーン、裏切りの連鎖だったり、本来は美しいとは程遠い出来事が繰り広げられるが、とにかく美しい。
美の化身なんて言葉を思い起こさせる主役のレスリー・チャンがそのように魅せているのか…
そこに私利私欲が全く存在していないからか…
特に主役クラスの3人の内2人は、その時代を自分の置かれた境遇の中で必死に生きただけなんだよな。純粋に。
演技には疎いが、この映画におけるレスリー・チャンの凄さを形容できる言葉が見つからない。
まだまだ自分の知らない、このように素晴らしい映画があるのだろう、あって欲しい。
そして、同じように映画館で上映して欲しい。
そんな事を思う映画だった。
美しくて残酷
こんなに美しくて残酷な物語、滅多に出会えない。
とにかくレスリーチャンの美しさが終始とんでもないことになっている。舞台上でも日常でも、所作や表情のひとつひとつに虞姫が宿ってしまっているし、小樓(大王)への思いはずっと消えない。これが彼の名役者たる所以でもあり、悲劇でもある。
盧溝橋事件や日本降伏、共産党政権樹立に文化大革命と、中国の激動の時代に翻弄される様が本当に悲しい。
いつだって同じ京劇を美しく壮麗に演じているだけなのに、最前列の観客が誰か、劇場の外で何が起こっているかによって、思うように芝居ができない。そのもどかしさや悔しさ。
序盤から色んな意味で目を覆いたくなるシーンが続くけれど、なかでも終盤の文革のシーンは壮絶。これまでどんなときも歯を食いしばって支え合ってきたはずなのに、暴言を吐き合ってしまう。炎越しで見切れつつもチラッと映る蝶衣の悲しげな表情が何とも言えない。その中で小楼は絶対に超えては行けない一線を超えてしまい、取り返しのつかない結果になってしまったときの半狂乱で後悔する場面も辛い。
時代に翻弄され、11年ぶりに会えた2人の最後の舞台でやっと本当の虞姫になれた蝶衣(小豆)を見つめる小樓の笑顔、ぐっと来る。
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