さらば、わが愛 覇王別姫のレビュー・感想・評価
全84件中、21~40件目を表示
レスリー・チャンの美しさに惹かれ、まさに歴史に翻弄される
タイトルから、ラストエンペラーのような壮大な話かと思っていたが、時代に翻弄される部分は共通してはいるものの、より個人に注目があたった作品であった。
なによりレスリー・チャンが魅力的である。劇中の人々がみな惹かれるように、観客もその姿に釘付けになる。
役者は私生活との区別がつかなくなると言うし、レスリー・チャンも自死を選んでしまったが、その構造が作品にも表れている。だからこそ作中の京劇も魅力的にうつっているし、この映画も目が離せない。
映画、表現というものを改めて考えさせられる作品である。
また、京劇というものをよく知らなかったが、その魅力と中国の近現代史における扱いを身近に感じることができた。
2023年劇場鑑賞85本目
この重厚感 唯一無二。
いやー、すごい映画を見てしまった。
サンザシの砂糖漬けや序盤や印象的なシーンが目白押し よくこんな映画が作れたなと、、
運命や時代という大きな渦には…
しばらく椅子から立てませんでした。
オールタイムベスト入りしそうなので、円盤買います。
四面楚歌に追い込まれた項羽と虞美人のように、変革の時代に翻弄された男優2人の壮大なドラマ
四面楚歌に追い込まれた項羽と虞美人のように、変革の時代に翻弄された男優2人の壮大なドラマ😃圧巻でした❣️
レスリーチャンの一挙一動に魅力された
京劇養成所に入れられた小豆子。母に容赦なく捨てられたことから愛に飢えていたのだろう。だから、常に助けてくれる石頭への思いは慕うことだけでなく愛情へと変わるのも無理はない。
養成所でのあまりのスパルタっぷり、洗脳に近い上下関係は今では大問題。
スターとなった二人だが、恋敵のコンリーの登場と時代の変化に翻弄される。
レスリーチャンの妖艶さは異常。小豆子は役に取り憑かれていると言われるがレスリーチャン自身が取り憑かれているように感じた。
小豆子の視点で見てたから、コンリーに対して略奪婚しやがってとぇとヘイトが溜まっていった。しかし観ているうちに小豆子の脆さに寄り添う姿も見せ、一番人間らしくて最後は好感が持てた。
文化大革命での京劇の弾圧によって屈する姿は見ていてあまりに悲痛な気持ちになった。
激動の時代に翻弄されたどり着いたラストは役に生きた小豆子を見事に表現していてさすがと思った。
ちょっとシーンが急に変わってぶつ切りに感じてしまう部分もあったが、観て本当に良かった!
京劇を初めて知りました
中国を舞台にした京劇俳優の半世紀の生き様を描いた物語。レスリー・チャンの妖艶な映像が印象的で激動の歴史を感じる作品。京劇はこの作品で初めて知りましたが個人的には内容が理解し難く残念ながらこの作品を良さを感じる事が出来なかった。
2023-129
芸に生きるとは
1995年に初めて劇場で観た時は、感動(と充実した疲労感?)ですぐには席を立てませんでした。映画はたくさん観てきましたが、一生心に残るだろうなと思える作品はそう多くはありません。そんな名作を、去年に続き今年も劇場で、きれいな映像で観られるとは本当にうれしいことです。
この作品では「激動の時代に翻弄された京劇役者と周囲の人々の物語」という一言の説明では到底伝わらない、時代の空気や生活の生々しさと複雑な人間心理が、時間をかけて丁寧に描かれています。京劇の舞台の美しさと迫力と、その確かな芸・技術が子供のころからの厳しい修業の賜物であることも。修業がいやで逃げ出した少年が、すぐれた俳優の舞台を観て「彼はこうなるまでにどれだけ殴られたことだろう!」と涙する場面には胸を打たれました。
その後も登場人物たちの身に起こるさまざまな出来事に(共感するだけに)振り回されて、一緒にヘトヘトになる展開が続くのですが、今回私が一番感じたのは、京劇という舞台芸術にかける人々の思いです。
レスリー・チャン演じる主人公の俳優が日本軍のために演じたと裁判にかけられる場面で、京劇のスポンサーである人物が「我が国のすぐれた伝統文化である京劇を、いかがわしいとは何事か!」と一喝するのに感動し、また主人公が「日本軍は憎いけれど、彼らは自分に指一本触れなかった」と証言するのにも、保身のために周囲に流されない京劇への確固たる愛を感じました。まぁ結果的にそういった言動が彼らをさらに苦境へと押し流すのですが。
文化大革命の描写は何度みても本当に恐ろしく、こうやって多くの人々が暴力と吊るし上げで破壊されていったのだろうなと実感します。古き良きものが存在を否定されて、多くの伝統文化も途絶えてしまったのではないでしょうか。
もし戦後の中国が共産主義でなかったら、とふと想像しました。古代の日本がお手本にしたすぐれた文化大国には、広大な国土に多種多様な地域民族・伝統文化と歴史があり、まぁ王朝が変わるごとに絶滅するものもあったにせよ、現代の歴史家が政治の顔色をうかがわずに自由に研究・発表できればさぞかし歴史学業界は大賑わいで興味深いことでしょう。文化大革命がなかったら、歴史的に貴重なものももっといっぱい残っていたのだろうなぁと思うととても残念です。
また同時に、現代のネットの悪口社会は、この文化大革命に似た恐ろしさがあるように感じました。自分と異なる価値観や意見に対して、堂々と議論するのではなく、顔や名前を出さずに(集団にまぎれてリスクを冒さず軽い気持ちで)攻撃できて、時には相手に回復不可能なほどのダメージを与える。攻撃される側はきっとこの映画のティエイー達と同じような苦しみを感じるのだと思いました。
観る人によって印象はさまざまでしょう。いろんな角度から、いろんな見方を楽しめる、非常に味わい深い作品だというのは間違いなし!
私も最初に観たときは、登場人物たちの愛憎劇というところに注目していました。時間をおいて何度も観て、自分の感想の変化を研究するのもいいものですね。
観る人を選ぶ映画
京劇「覇王別姫」を演じる2人の愛憎と人生を、1925年から1970年代末までの中国の動乱の歴史とともに描いた作品です。
タイトルにインパクトがあるので、昔から作品の存在は知っていたものの今に至るまで未鑑賞でした。主役を務めたレスリー・チャンの没後20年を記念して4Kレストア版が上映されていることを知り、鑑賞してきました。映画.comのレビューでは4.4という驚異の高スコアですので期待は高まります。コメントを全て読んだらネタバレに遭遇するかも、という微妙な心理が働き、ほとんど予習することなく鑑賞しました。
決してつまらない映画ではないのです。しかし、前提となるいくつかのこと、特に中国の歴史を学んでから鑑賞すると、また別の感想を持ったかもしれないなと感じました。この作品を、程蝶衣(小豆子)と段小楼(石頭)の愛憎、菊仙を交えた愛憎劇と捉えると、この映画の半分も味わえていないのではないだろうと思うのです。日本による占領、中華人民共和国の建国、文化大革命、これらの後ろにある思想・価値観の変遷をある程度理解してから観ると、それぞれのシーン・セリフが持つ意味合いをより深く理解できて、もっと感銘を受けることができたかもしれません。そんなこと知らなくても、レスリー・チャンの美しさがあるから十分という意見もあるでしょう。しかし、私の周りでは眠っている人もチラホラいました。
要は、観る人を選ぶ映画だな、と思うわけです。
よく中国がこの内容で
通したよなあこれを許可したのが謎🤔💭
ツァンツィーイーも出てて可愛かったが少し劣化した?
肉体的には確かに性別は存在するだが心には性別は存在する( 'ω')?ん、何言ってんだそれ普通の事やん。まあ何が言いたかったかというと、芝居やるのにそんなに体罰するの許せないしおかしい!断固反対!で文化大革命もめっちゃ残酷で有り得ない!絶対絶対反対!残念でならない、検閲で止められるから映画では触れてないけどこの時代そうとうな数で大虐殺が起こったんでしよ文化大革命。許せんし悲しいしキツいし残念だし切ないししたらだめ!そういうこと!
てかオカン!酷すぎる!許せん!痛いやろ!そんな事すなや!
愛しき菊仙
登場人物の中で1番好きなのは菊仙❤️。小楼を守るために自分の全てを投げ打って、尽くし、愛し抜いた。真っ当な心優しき女性。潔い美しき女性。愛しの菊仙❣️。悲しい最後も小楼を守る為だったのかな?
時代に翻弄された京劇役者の人生
母に捨てられ、京劇の養成所に入れられた小豆子は、よくいじめられていたが、そんな彼をかばい、つらく厳しい修行の中で助けとなった兄のような存在が石頭だった。成長した2人は大王と姫の役で京劇界の大スターとなった。石頭は遊女の菊仙と結婚し、小豆は彼氏を取られた気分になり・・・てな話。
1993年公開で、30周年を記念し4Kで修復したとのこと。
戦前に日本が中国を占領してた時、国民政府が政権をとっていた時、その国民政府が共産党に負けて台湾に移った後、なと彼ら2人は時の政権に翻弄され持ち上げられたり、落とされたりと大変だったのはわかった。
文化大革命で毛沢東は中国を批判する人々を2,000万人とも6,000万人とも言われるほど処刑してきた中国共産党なので、こんなことも普通に有ったのだろう、という感想。
自分の命を助けるために人を陥れる、これも普通に、今でも有るのだろう。
石頭に裏切られた菊仙が一番かわいそうだった。
レスリー・チャンは歌舞伎の女方のようで、さすがの演技だった。菊仙役のコン・リーは可愛かった。
世が世なら
世評が定まった見逃し作品の一つ。ようやく機会を得て劇場で鑑賞。2K上映だったらしいけど気にならず。
芸道に児童福祉は適用されない。カンフー映画にもよく似た少年たちの壮絶修行シーンが登場するけど、そこは良識あるチェン・カイコー、ズームは一切使わず、ドリーとステディカムで古い伽藍の中のアクションを捉えていた。
京劇という伝統芸能の価値観が時代とともに乱高下する。役者たちの日本軍、国民党軍、人民解放軍それぞれへの見方も興味深い。革命を支えるのはいつだって若い世代。彼らには伝統など無価値だし、唾棄すべきもの。造反有利って、いやはや、言うたもん勝ちやなー。
日本でも50年代に共産主義革命が成立していたら、能や歌舞伎も自己批判の矢面に立たされていたのだろうか。世が世なら、と思わずにいられないのは、政治システムの狭間で憂き目に遭っている人々が大勢いるためだ。台湾にも香港にも、朝鮮にもロシアにも。
しかしオープニングとエンディングの演出には疑問が残る。予算が尽きたか?
公開30周年、レスリー・チャン没後20年、再上映
京劇に全く興味なく、中国映画にも興味ないので、最初は観る気なかったのですが、評価が高いので観てみました。
日中戦争前から始まる物語で日本は悪的に描かれていて、噂に聞く抗日映画っぽく、ウサンくさく思いかけましたが、
まあ許容範囲かな、プロパガンダ的な映画じゃない、
中華視点から観る当時の日本は、日本人として勉強になります。
この映画は、中国、香港、台湾、の合作です。
途中から、評判ほど良くないな…ビミョーだな…と思ってたけど、
そんな気持ちは、最後で、ひっくり返されました。
終わり方が秀逸、なるほど…と。
最後まで観て、もう1回観たくなった。
京劇と京劇役者を変わりゆく時代と共にスケール大きく壮大に描く映画です。
京劇を実際に目の前で観ている感覚にもなれるので、映画館で観たい、映画館で観るべき、演劇的な映画だと思います。
映画館で上映されたら、ぜひ映画館で!!
PS.172分の長さは体感的に気になりませんでした。
レスリー・チャン!
京劇の美しいお芝居はもちろん、
嫉妬でぷりぷりしているところも、
とにかくレスリー演じる程蝶衣に魅せられる。
単純な恋物語でなく、生い立ち、時代に翻弄される一生を描いた大作。
菊仙とはただの恋敵でないところがまた複雑で、
何度も観たい映画。
別格
絶対的に星5。
こんな映画があるとは…知らなかった。
京劇という芸術も知らなかった。
リバイバル上映に感謝。
約30年前に上映された映画で、それなりに古い映像なのだろうけど、そんな事関係なく美しい。
政治・時代に翻弄され、目を覆いたくなるような暴力や残酷なシーン、裏切りの連鎖だったり、本来は美しいとは程遠い出来事が繰り広げられるが、とにかく美しい。
美の化身なんて言葉を思い起こさせる主役のレスリー・チャンがそのように魅せているのか…
そこに私利私欲が全く存在していないからか…
特に主役クラスの3人の内2人は、その時代を自分の置かれた境遇の中で必死に生きただけなんだよな。純粋に。
演技には疎いが、この映画におけるレスリー・チャンの凄さを形容できる言葉が見つからない。
まだまだ自分の知らない、このように素晴らしい映画があるのだろう、あって欲しい。
そして、同じように映画館で上映して欲しい。
そんな事を思う映画だった。
美しくて残酷
こんなに美しくて残酷な物語、滅多に出会えない。
とにかくレスリーチャンの美しさが終始とんでもないことになっている。舞台上でも日常でも、所作や表情のひとつひとつに虞姫が宿ってしまっているし、小樓(大王)への思いはずっと消えない。これが彼の名役者たる所以でもあり、悲劇でもある。
盧溝橋事件や日本降伏、共産党政権樹立に文化大革命と、中国の激動の時代に翻弄される様が本当に悲しい。
いつだって同じ京劇を美しく壮麗に演じているだけなのに、最前列の観客が誰か、劇場の外で何が起こっているかによって、思うように芝居ができない。そのもどかしさや悔しさ。
序盤から色んな意味で目を覆いたくなるシーンが続くけれど、なかでも終盤の文革のシーンは壮絶。これまでどんなときも歯を食いしばって支え合ってきたはずなのに、暴言を吐き合ってしまう。炎越しで見切れつつもチラッと映る蝶衣の悲しげな表情が何とも言えない。その中で小楼は絶対に超えては行けない一線を超えてしまい、取り返しのつかない結果になってしまったときの半狂乱で後悔する場面も辛い。
時代に翻弄され、11年ぶりに会えた2人の最後の舞台でやっと本当の虞姫になれた蝶衣(小豆)を見つめる小樓の笑顔、ぐっと来る。
レスリー・チャンを閉じ込め永久保存する映画
蝶衣の波乱の人生と悲しい最期が自殺を選んだレスリー・チャン自身の人生に重なる部分もあり、なんとも言えない気持ちになる。
それと共に、レスリー・チャンがこの映画を残してくれた事が本当に尊い。
映像は閉じ込められ、永遠だ。
クリストファー・ドイルの撮影する作品は全部好きだ。視点が美しすぎる。この映画であれば阿片と金魚のシーンが特に。
ストーリーは幼少期からの一生をかけての愛憎劇でもあるし中国の歴史の変革に弄ばれる運命を描いた大河ドラマ的でもある。
職業俳優は舞台は舞台、私生活は私生活と切り離すことが出来る。
しかし、役が憑依する俳優は、私生活がどうであれ、舞台の上にいるのが本当の自分で舞台の上が人生だと、舞台の上で生きて人々を魅了する。
この映画を観てレスリー・チャンに魅了されない人がいようか!
美しい身のこなしに、その声に、その眼差しに。
4Kで蘇らせてくれてありがとう!
全84件中、21~40件目を表示