「暴力と芸」さらば、わが愛 覇王別姫 Pocarisさんの映画レビュー(感想・評価)
暴力と芸
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紛れもない傑作。
20年ぶりに見ました。その前に一度見ているので三回目です。しかしスクリーンで見たのは今回が初めてです。
20年前はレスリー・チャンの死去に際して、追悼の気持ちで見ました。
蝶衣の小楼の関係や、京劇という伝統芸能を中国の激動の現代史の波の中に置く重厚なストーリーに目を奪われがちですが、久しぶりに見て気づいたのは、これが「芸」とさまざまな暴力にまつわる話だということです。
師匠からの体罰に始まり、戦争や文化大革命へと、暴力が形とスケールを変えながら主人公たちを取り囲み続け、それが「覇王別姫」のストーリーと融合し(ラスト近く、まさに「四面楚歌」という場面に至る)、最終的には自己への暴力に集約されてしまう。
それは同時に蝶衣が虞姫に真に成り切る瞬間でもあり、
いわば彼の「芸」の完成の瞬間でもあるという、なんともやるせなくドラマチックな展開と演出です。
12月にブルーレイも出るということですし、今後も何度でも見直す作品になると思います。
しかし、この映画でも「戸田語」にはげんなりします。どうにかしてほしい。
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