劇場公開日 2000年9月30日

カノン(1998) : 映画評論・批評

2000年9月15日更新

2000年9月30日よりシネマライズほかにてロードショー

「カルネ」から6年、さらなる衝撃が突き抜ける

赤ワインのように真っ赤に染まる、シネマスコープ大画面。いや、これはワインではない。「馬の肉」と「血」だ……ビザール・シネマ「カルネ」で過激に登場したギャスパー・ノエは、肉食と個人主義の国フランスが生んだお騒がせ野郎。あれから6年、ギャスパーはまた馬肉を引っさげて還ってきた。

前作で娘に対する妄想から殺人を犯した肉屋のオヤジの後日談。刑務所から出てきた彼は、その不幸な生い立ちから現在までを「独白」する。ひっきりなしに流れるナレーション、クラッシュ・ズーム、爆発音。音と映像の電気ショックで再構成されていくオヤジの姿は、しかし、電車の中でブツブツ独り言をいってる疲れた日本のオヤジも思わせる。

一方で、前作同様、ひとことも物いわぬ娘。しゃべろうが黙ろうが、人間はみな孤独なのだ。原題は「孤立無援」──たった一人で世の中すべてを敵に回す危険なオヤジの独り言に付き合えるか、ヘキエキするか。それがこの映画の別れ道だろう。妄想的近親相姦、差別、暴力と、小道具は過激だが、結局、映画は「純粋愛」に昇華される。プロデューサー、アニエスb.の肩入れの理由もそのへんにあるのだろうが、肉食人種でないと昇華(消化?)の前にヘコタレてしまうかも。

(田畑裕美)

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