「これは戦争なんだ」カナリア エライさんの映画レビュー(感想・評価)
これは戦争なんだ
ヘリの轟音に身を潜め、少年は空を睨みつける。逃れるためではなく、何かを掴むために。その眼差しは、彼が既に知ってしまった世界の残酷さと向き合っていることを物語る。
濃い霧の中、手探りで寄り添おうとするレズビアンのカップル。愛を信じて進もうとする彼女たちもまた、残酷な社会と自らの心に潜む闇とぶつかり合う。その姿は、目に見えぬ戦争に抗うように見える。
神の子としての加護がなくとも、私たちは誰かが与えた価値ではなく、自分自身が選ぶ“私”を見つけなければならない。その過程には痛みもあるが、それが生きることの真実であると、この映画は訴えかけてくる。
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