カミュなんて知らないのレビュー・感想・評価
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芸術作品なのか?娯楽作品なのか? じゃあ何なのか? そう問われたなら首を傾げざるを得ない
映画業界のあるあるネタを学生に置き換えたもの
そこに古今東西の映画ネタをちりばめてある
さらにいろんな映画のオマージュシーンを見せる
作りとしてはこういう構造でしかない
だからカミュなんか知らないという題名なわけだ
そんな高尚なものを扱っているような映画じゃないと念をいれて断ってあるわけだ
終盤の殺人シーンも撮影シーンと頭ではわかっていても、音楽やカメラの斜めアングルなどの不安を与えるよくある演出手法を使えばこの通りということを言いたいものだ
良くは出来ている、だけど好きではない
芸術作品なのか?娯楽作品なのか?
じゃあ何なのか?
そう問われたなら首を傾げざるを得ない
「カミュ」ってブランデーのことかと思っていたら、「異邦人」のカミュだったのですね・・・で、あのブランデーはシャレなのか?
トリュフォーだのゴダールだのヴィスコンティだのと映画談義を楽しみながら、長回しはどの作品が何分何秒あるとかのオタクぶりも発揮しながらその長回しのオープニングで観客を魅了する。ぐぐっとストーリーに引きずりこまれるも、所々に見せる『ベニスに死す』など名作のオマージュが光っているので伏線にも驚いてしまう。ちょっと笑ってしまったのは『華氏451』のような交錯する音読シーン。ゴダールなんて知らないし、トリュフォーも嫌いだし、他にもいっぱいあったオマージュを見落としているかもしれないことが残念でなりません。(長回しは『ザ・プレイヤー』らしい・・・)
そんな映画オタクぶりを織り交ぜながら進むストーリーは元映画監督の教授の指導で学生たちが撮る「タイクツな殺人者」を劇中映画として扱ったもの。やたらと古い映画に詳しいところをみると、映画学校とはこんな雰囲気なんだろうなと想像してしまいます。テーマとしては実際に老婆刺殺事件を起こした高校生の犯罪心理に迫る映画なのですが、学生たちがその不条理な実像に近づくために苦悩する姿を上手くとらえていました。
劇中映画の主人公である池田(中泉英雄)の冷めた表情とゲイっぽさのおかげで、犯罪心理よりもむしろ被害者の立場の恐怖感をも味わえました。高校生って怖いよ、みたいな。結局は“試したかった”、“実験だ”、“殺すってどんなだ”といった心理をスタッフたちも体感したくなる過程を、恋人がいる異性にキスをするといった行動も取り入れて独特の雰囲気で描いています。サブストーリーとして、ちょっとした浮気心で恋人以外とキスをした久田(前田愛)の恋人に嘘(キスした相手)をつくシーンや、老けた大学生大山(田口トモロヲ)と教授(本田博太郎)の設定も面白かった。
そのまま犯罪再現ドラマを扱ったとしたらそれほど面白くなかったのでしょうけど、クライマックスでは色々と想像力をかき立てる工夫がなされていたので、終わってからも考え込んでしまいました。どっちなんだよ・・・
フィクションの面白さ
映画はフィクションであって、ノンフィクションを追及することなんて無駄だということを実践したのではないかと思わせるほど、見るものを唖然とさせる。神話はフィクションかどうかなど問えないが、この映画を見て、フィクションかどうか、問う意味はないように思う。
「ゴッド・スピード・ユー」こそ最高の映画だと思っている私は、少なくとも初期は、この監督はノンフィクションにフィクションの未来を賭けていたように思う。それをあきらめた結果の境地、という感じの映画なので、ナンバー1は無理だと思うし、監督も望んでいないと思う。
しかし、面白いのである。その面白さはフィクションがノンフィクションに化ける面白さである。この迫真性はプロットに基づく。フィクションが神話化=メタ化する過程。
現実か妄想か…
柳町監督の作品は初めて見ましたが、ある意味“変な映画”だなあと。映画製作に没頭する主人公たちのあわただしい日常を淡々と描きながらも、次第に一部の人物たちの精神が危うい方向に流れていくような不気味さも漂う。クライマックスの映画撮影現場シーンは現実か妄想か…どちらともとれるので、それが言葉にできない怖さをかもしだす。でも、そういう大事な場面で実は主人公が不在というのが、また変な映画と言いたい所以でもあるんですが……。
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