劇場公開日 2007年1月20日

ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド : 映画評論・批評

2007年1月16日更新

2007年1月20日よりシネマライズほかにてロードショー

胸騒ぎを誘う奇妙なフェイク・ドキュメンタリー

1970年代半ばの英国ロック・シーンに突如出現して散っていった結合性双生児、ハウ兄弟率いるバンド、ザ・バンバン。彼らの知られざる伝説が、当時を知る関係者の証言で明かされていく……。こう書くとまるでドキュメンタリーのようだが、まさにそう。本作はドキュメンタリー“タッチ”ではなく、徹底的に記録映画の様式に則って構成されている。ただし頭に“フェイク”と付くのでご用心。キース・フルトン&ルイス・ペペ監督の試みがいかに成功しているかは、試写を見た複数のマスコミがハウ兄弟を実在のロッカーと錯覚したという事実が証明している。

見せ物に仕立てようとする興行主からギターを与えられた兄弟は、意外な才能を発揮し、聴衆を熱狂させる魂の叫びを放ち出す。まずグラムとパンクの端境期に時代を設定したサントラが充実。ドキュメンタリー形式を採用したことで“すでにこの世に存在しない”悲劇の主人公たちのはかなさが醸し出され、魅惑的な陰りを帯びた映画になっている。

また、海岸沿いの荒涼とした風景や兄弟が住む迷宮のような構造の屋敷などのロケーションが、陰鬱なゴシック・ムードを漂わせる。おそらくこの監督たちは怪奇映画も好きなのだろう。さらに劇中には兄弟のライブ映像をわざわざ編集用モニターで映し、現代の関係者が当時を振り返りながら、ある“決定的場面”を説明するという手のこんだシーンまである。そこにはいったい何が写っているのか。異端ロッカーの栄光と破滅のドラマとしてのカタルシスはやや薄味だが、フェイク・ドキュメンタリーであることを忘れて見入ってしまう瞬間が幾つもあった。胸騒ぎを誘う奇妙なフィルムだ。

高橋諭治

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