「知る人ぞ知るヒッチコック作品だが、見たら生涯忘れられなくなる。」サボタージュ(1936) ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
知る人ぞ知るヒッチコック作品だが、見たら生涯忘れられなくなる。
第二次大戦前に製作された、知る人ぞ知るヒッチコック作品。ドイツではヒトラーが徐々に力を振るい始め、日本ではちょうど226事件が勃発。こうやって社会に不安感ときな臭さが立ち込めていく状況はイギリスも同じだったようだ。
本作は秘密組織のためにテロ行為を画策する中年男と、その様子を怪しむ妻、そして以前よりこの男をマークし続けてきた当局捜査員が三つ巴となって運命をスパークさせる。冒頭の大停電からして最小限のカット割りでスケールの大きな混乱状況を描いてみせる。この頃からヒッチコックの才能は湯水のように溢れ出ていたことがはっきりとわかる。
その後、映画館を舞台にした特殊なドラマ性も面白いが、なんといってもフィルム缶に隠された爆発物をめぐるロンドンテロの描き方が出色だ。ここもまた最小限のカット割りで、タイムリミットまでのサスペンス性が鰻登り。ここまでハラハラドキドキさせられるとは思ってもみなかった。
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