サボタージュ(1936)

解説

精力的に映画製作を続けたヒッチコック1963年製作の2作目。「サボタージュ」とは破壊行為の意味。映画館主カールは、妻の知らないところでテロ活動に手を貸していた。次の標的はロンドン市長の就任パレードだったが、青果商に成り済ました刑事のテッドに感づかれてしまう。一般人が巻き込まれるバスの爆発シーンなど、テロを助長するなどの理由から上映禁止になった国も。アメリカでは、「A Woman Alone」とタイトルを変更し上映された。

1936年製作/76分/イギリス
原題または英題:Sabotage

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0知る人ぞ知るヒッチコック作品だが、見たら生涯忘れられなくなる。

2019年8月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

第二次大戦前に製作された、知る人ぞ知るヒッチコック作品。ドイツではヒトラーが徐々に力を振るい始め、日本ではちょうど226事件が勃発。こうやって社会に不安感ときな臭さが立ち込めていく状況はイギリスも同じだったようだ。

本作は秘密組織のためにテロ行為を画策する中年男と、その様子を怪しむ妻、そして以前よりこの男をマークし続けてきた当局捜査員が三つ巴となって運命をスパークさせる。冒頭の大停電からして最小限のカット割りでスケールの大きな混乱状況を描いてみせる。この頃からヒッチコックの才能は湯水のように溢れ出ていたことがはっきりとわかる。

その後、映画館を舞台にした特殊なドラマ性も面白いが、なんといってもフィルム缶に隠された爆発物をめぐるロンドンテロの描き方が出色だ。ここもまた最小限のカット割りで、タイムリミットまでのサスペンス性が鰻登り。ここまでハラハラドキドキさせられるとは思ってもみなかった。

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牛津厚信

3.0歴史資料として興味深い

2024年10月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

この時代のイギリス映画の特徴なのか、映画というより舞台的な演出に感じる。時限爆弾の時間的処理がイマイチで、これにはヒッチも後年嘆いていたとか。
後年の階段の要素がここでは映画館の暗闇になっていて、最後爆破されるのは興味深い。

1930年代中盤の不穏な空気感が醸成・加速していった雰囲気が、路上に溢れる群衆の熱気から伝わってくる。今では繁華街くらいしかこのような熱気は無いが、日々の暮らしの要求を満たす日常生活と享楽が混在し、猥雑な街が立ち現れている。

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ジャパニーズ先住民

4.0サスペンスのためのサスペンス

2024年2月27日
PCから投稿

ヒッチ自身は気に入らない作品のようです。

「どうなるんだ?」「上手くいくのか、いかないのか?」といったサスペンス、すなわち観る者を不安定で宙ぶらりんの状態に置く、それだけをひたすら映像化した作品です。

今観るといかにも「さあ、サスペンスですよ」「ビックリしたでしょ」的な良く言えば分かり易い、悪く言えば学芸会的なカット割りと編集ですが、ストーリーやセリフではなく技術に裏付けされた映像によってサスペンスの世界を表現したといえましょう。

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越後屋

3.5【”破壊工作により起こってしまった悲劇。”今作は、サスペンス作品の逸品であるが、哀しき作品。目的達成のために手段を選ばないテロリストの末路も悲劇である。】

2024年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

■映画館を経営する若妻(シルヴィア・シドニー)とその若き弟スティービーと暮らす破壊工作員・ヴァーロック(オスカー・ホモルカ)。
 善良な市民を装いつつ任務の遂行に神経を尖らせる彼に、次第に臨家の八百屋の店員に化けたテッド・スペンサー刑事の監視の目が向けられる。
 身動きが取れなくなった彼は、やむなく時限爆弾の包みを妻の弟に託す。
 真実を知らない少年に、爆発の瞬間が迫る。

◆感想<Caution!内容に触れています。)

・”鳥は、一時45分に鳴く”と言う、破壊活動の仲間達の合言葉を知らずに、運び屋をさせられる少年スティービーが、スペンサーと姉とドキドキしながら、楽しそうに高級料理店で食事をする嬉しそうな姿と、爆発のシーンの対比が哀しい作品である。
ー 資料を読むと、ヒッチコック監督もこの構成には、少し反省したらしい。-

・弟を殺された姉で、破壊工作員・ヴァーロックの妻が、夫の依頼により野菜煮込みを作るシーンもハラハラドキドキである。

<ラストは、善性在るテッド・スペンサー刑事により、逃がされたヴァーロックの妻の哀しくも複雑な表情。
 ヒッチコック監督作品は、今まで観た作品は全てハイレベルの作品であり面白く鑑賞しているが(彼の監督で駄作ってあるのだろうか?。)今作は、その中でも哀しき余韻が心に残ってしまう作品である。>

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NOBU

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