ブラザーフッド : 映画評論・批評
2004年6月15日更新
2004年6月26日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝系にてロードショー
韓流ブームの真打ちともいえる骨太エンターテインメント
「冬のソナタ」から始まった韓流ブームの真打ちともいえる作品の登場だ。韓国の歴代動員数を更新したブロックバスターである。骨格はまさに半島版「プライベート・ライアン」だが、兄弟の反目と絆を軸にしただけに、悲劇性はより高まったものに仕上がった。
感動の布石となる導入から、陰惨ともいえる戦闘シーンの連続を経て、涙腺大解放ラストへとなだれ込む展開は、兄弟が南北に別れて戦うというストーリーの強引さを忘れるに余りあるほどエモーショナルだ。技術面でも、広大なセットを使いながらも、主人公たちへのアップを多用することで「臨場感と共に、彼らへの感情移入を容易なものにした」と監督が語るだけの効果は上げている。
また、安易な南北の対立構造に陥らなかった点が、より戦争の無意味さを訴えているのも印象的だ。特記すべきは弟役ウォンビン。人気韓流スターの中では若く(26歳だが)、自らアクションもこなし、感情の出し方にもひと工夫ある期待のスター。深田恭子と共演したTVドラマ「フレンズ」以来の本格的な日本上陸だけに、熱い盛り上がりが見られるだろう。
「冬ソナ」が今ひとつピンと来ない人にこそ見て欲しい、骨太な韓国エンターテインメントだ。
(編集部)