「ピンクの手紙」ブロークン・フラワーズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ピンクの手紙
「リストを作れ」「いやだ」
「ブランチを食べに来い」「いやだ」
「計画を立てておいたから、後はカードを使って旅に出ろ」「いやだ」
命令されるのが嫌なのか、誘いを受けるのが嫌なのか、とにかく頼まれたら必ず「NO」と答えるドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)。ところが直後のカットでは必ず申し出を受けている彼が映し出されるのです。しかも楽しそう。単なるアマノジャクだったのか?元々オフビート・コメディの才能を発揮するジム・ジャームッシュ監督なのに、主演がビル・マーレイということも相乗効果となって、このような不思議な笑いを与えてくれます。
かつてはドン・ファンだった男もそろそろ枯れ気味の独身中年。同棲していたシェリーが家を飛び出した直後に、「20年前、あなたと別れてから妊娠がわかり、一人で育てた息子も19歳に」「あなたのもとを訪ねるかもしれません」と書かれたピンクの手紙を受け取った。おせっかいで探求心旺盛な隣人ウィンストン(ジェフリー・ライト)にそそのかされるまま、かつての恋人の元を訪ねることになった。ロードムービーとしては、息子が父親探しの旅に出る話はよくあるけど、これは逆をいくストーリー。相手から訪ねてくるのにわざわざそんなことを・・・などとは思ってはいけない。なんたってジャームッシュ作品なのですから。
手紙はピンクの封筒に赤い文字で書かれていて、本文がタイプライターだったことからヒントはピンクとタイプライター。4人の候補者を次々訪問するのですが、単に懐かしかったり、ぎこちなかったりで、独特の“間の悪さ”が絶妙な空気を醸し出します。その空気が「自分に子どもがいた」と不安と希望の入り交ざったドンの微妙な心を描いてくれました。そして、手掛かりのピンクにこだわるがために、バスローブ、ケータイ、名刺、等々に悩まされ、通りすがりの女性たちも夢に出てくる始末。
結局最後にはどうなったの?などと余韻を残す終わり方には賛否両論かもしれないですけど、あれこれ想像できる楽しみもありました。見所はエチオピアン・コーヒーとエチオピア音楽♪嫌いじゃなかったのね・・・
【2006年5月映画館にて】
元嫁からは
後年ピンクの手紙ではなくて分厚い白い封書が来ました。
苦笑。
kossyさん元気しとるの?
こちらは毎日毎日、新米とスタッドレスタイヤとホイールを運んでいます。
ぜんぶ重い。ぜんぶ辛い〜!