「世間から白眼視される愛を長期間貫き通した二人の恋愛の喜び悲しみと美しさ醜さ」ブロークバック・マウンテン Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
世間から白眼視される愛を長期間貫き通した二人の恋愛の喜び悲しみと美しさ醜さ
アン・リー監督による2005年公開の米国映画。原作がE・アニー・ブルーの同名短編小説。脚色がラリー・マクマートリー(愛と追憶の日々原作者、製作総指揮も兼任)とダイアナ・オサナ。主演がヒース・レジャーとジェイク・ジレンホール。他、アン・ハサウエイ、ミシェル・ウイリアムズが出演。
恥ずかしながらバットマンのジョーカー役ヒース・レジャーの主演映画という情報のみで視聴して、内容にビックリ。正直、落ち着かない気持ちの悪さもあったが、何処か妙に引っかかるところも有り、2回見ることに。
成る程冷静に見ると、とても良く出来た映画である。ヒースのシャツを山に忘れてきたとのセリフが、後のジェイク宅での意外なかたちでの発見、更に最後にしっかりと生きて来るのが何とも上手い。そして年月を超える二人の純愛を感じさせられた。そもそも最初から、サイドミラーでヒースをジッと見つめるジェイクの姿も意味深。テントの中のいきなりの出来事は最初驚かされ、2度目も見たくないものを見せられた気分。とは言え、その後日2人で戯れ合う姿は、眩しい美しさが有る映像とも思えた。
ヒース・レジャーの妻ミシャル・ウイリアムズが、二人の熱い口づけシーンを目撃してしまったショックと悲しさには、思わず共感してしまった。彼女、なかなかの好演であった。彼女とのベッドシーンもヒースの嗜好を暗示なのか。実生活でも彼女、ヒースの子供産んだ後、映画の展開に似て婚約解消ということらしいのには驚かされた。
アン・ハサウエイはジェイクの妻役で、1982生まれだからこの時は22〜23歳か。会ったその日に車の中で胸も露わにいたすのが何とも魅力的。また、彼女の実父にジェイクが楯突いたシーンの彼女の反応も、チャーミングで可愛いらしかった。
ヒース・レジャーの演技はやはり流石。特に娘の結婚式に出席することを告げるシーンは、ジェイク一への盲目的恋情で家庭をぶち壊してきた人間がようやく親らしさを見せて、少し嬉しく思えた。
まあ、個人的には好みではなく感動にこそ結びつきにくいが、困難な愛を描くのが難しい時代の中、世間から白眼視される愛を長期間貫き通した二人の恋愛の喜び悲しみと美しさ醜さをしっかりと描き出した映画であった。
Kazu Annさんへ
たくさんの「♥共感」ありがとうございました。この度頂いた作品の中では「西部戦線異状なし」が私としては一番評価する作品でしたが、一連で再鑑賞した第一次世界大戦物としては「素晴らしき戦争」が更に上廻る印象でした。年齢によって評価が変わるのも映画鑑賞の面白さなのかなと、しみじみ感じている昨今の私です。
映画.comでのお付き合いの程、今後とも宜しくお願いいたします。