「続編が前作に匹敵するとか、超えてくる傑作だというのはそうありません しかし本作は続編の傑作です」ボーン・スプレマシー あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
続編が前作に匹敵するとか、超えてくる傑作だというのはそうありません しかし本作は続編の傑作です
ボーンシリーズ第2作
大ヒットした作品の続編は難しいもの
前作の蛇足になったり、無理やり継ぎ足したものだから、これって違う映画でしょとなってしまったりすることもよくあります
続編が前作に匹敵するとか、超えてくる傑作だというのは、ターミネーター2とかもありますが、そうそうありません
まあ、悪くはないけど、そんなもんかというのが大多数です
さらに続いてシリーズになっていくのは稀なことです
しかし本作はそれをやってのけた続編の傑作です
お話は前作とシームレスに繋がっています
原作があるにせよ、まるで最初から続編が予定されていたかのようです
しかし単独で本作から観たお客さんもそれなりに楽しめるように出来ていて、前作を観てないと何が何だかと置いてけぼりにはしない作りがお見事
本作は2004年公開、前作は2002年の公開
次回作は2007年になります
一方ミッションインポッシブルシリーズは、第1作が1996年、第2作は2000年、第3作は2006年の公開
両シリーズはどちらもCIA の非合法工作部隊のお話で、規格外のスーパー工作員を主人公にしているのも同じ
ミッションインポッシブルを反面教師として21世紀のスパイアクション映画とは何かを突き詰めてきたのがボーンシリーズだと言えると思います
特に第2作の本作はミッションインポッシブル2の惨状みたいにならないように練りに練って作られていることがヒシヒシと感じられます
ミッションインポッシブルはスパイ大作戦の実質的リブートではなく、本当はボーンシリーズを目指すべきだったことが、ようくわかります
そのミッションインポッシブルシリーズも第3作は、ボーンシリーズの大成功、特に本作を見て軌道修正を図って来ます
つまり両シリーズは互いに影響を受け合っているライバルシリーズと言うわけです
物語はベルリンからはじまり、インドのゴア、ナポリ、ミュンヘン、ベルリン、モスクワと移動します
しかも車か鉄道で移動します
スパイはこうでなくちゃ
熱帯のゴアと冬のベルリン、雪のモスクワの対比もエッジが効いています
そしてラストシーンは陽光の輝くNY です
素晴らしい終わり方で、これもヨーロッパと米国の対比が際立っており、物語をリセットしながら次回作への橋渡しになっています
今作では前作でキャラの立っていたニッキーや、CIAのやり手女性工作部長パメラ・ランディと女性を全面に押し出してきており、この時代感覚もなかなかのものです
特にパメラ・ランディのキャラ造形が素晴らしい!
年の頃は50代前半か
若い頃はすこぶるつきの美人だったのは間違いない
今でも美魔女ぽくて、本気出したらすごい綺麗なのも間違いなし
つまり20年から30年前、冷戦真っ盛りの007映画のような現場で、文字通り体を張って手柄を挙げて若くして抜擢され、出世を重ねてきた叩き上げです
その美貌を活かすだけでなく、頭も切れる、度胸もある、ガッツもある
そんな男以上の優秀さで数多くの工作を成功させ、いまでは特殊工作の部長にまで昇進している
CIAの中でも女性工作員の出世頭、伝説の女
そんな語られない彼女の背景が容易に想像できます
ラストシーンはその彼女がさらに出世しているようです
アクションも、カメラも、演出も、前作に続いて冴え渡っています
大満足です!
ますます次の作品が観たくなりました