劇場公開日 2005年2月11日

「【CIAに”育てられた”哀しき男。更なる”哀しみ”を負いながらも、自らの過去の”過ち”に向き合う。】」ボーン・スプレマシー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【CIAに”育てられた”哀しき男。更なる”哀しみ”を負いながらも、自らの過去の”過ち”に向き合う。】

2020年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD、映画館

悲しい

興奮

知的

 <”ネタばれ” 含みます。鑑賞前の方はご注意下さい。>

 冒頭、インドのゴアで穏やかに暮らすジェイソンとマリー(フランカ・ポルテ)。だが、ジェイソンは”訓練は終わりだ…”と言う声とともに断片的な凄惨な場面がフラッシュバックのように脳裏に現れる状態に悩まされている・・。
 そして、突如現れたロシアン系スナイパーにジェイソンの代わりにジープを運転していたマリーが射殺されてしまう・・。

<”ボーン・アイデンティティ”のレビューに記載したコメント>
-この、”ボーンシリーズ:特に第三作まで”が魅力的なのは、
ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が桁外れの戦闘術や危険を察知する能力を身に着けてはいるが、決して自らの意思で人を殺めるのではなく、次々に襲い来る様々な敵に傷つきながらも、自らの失われた記憶(アイデンティティ)を探し求めるリアルな人間像が観る側の共感を得る部分だろう。

 そして、破綻なき物語構成がきっちり2時間以内で収められている所。無駄がないのである。-

 この第二作でも、その魅力は変わっていない。ブレていないのである。

<今作のカーアクション>
 ・前作でも、カーアクションは白眉であったが、今作でもマリーを射殺したキリルとのモスクワ市街での”どうやって撮ったの?、何台、車オシャカにしたの?? と言う位の”怒涛のカーチェイス”。

<今作で沁みたシーン>
 ・マリーと川に落ちた際、絶命したマリーと口づけを交わし、永遠の別れを体現するシーン。

 ・ベルリンCIAの女性諜報員、パメラ・ランディ(ジョアン・アレン:オオ・・、キャスティングが豪華になっていく・・)達は7年前の公金横領を調査する中、情報屋が現れるが彼とCIA局員は殺害。指紋からジェイソンの仕業と思われるが・・
 だが、これが”全てを知る”CIA局長アボットの仕掛けた事が分かるシーンからの彼がパメラに言うセリフ。そして、追い詰められたアボットが最期に言うセリフ”私は愛国者だった・・” 彼も又、公金横領及び保身を図ってはいたが、犠牲者であった・・。

 ・彼の最初の任務、ロシアの民主系の清廉な政治家ネスキー暗殺犯が”誰だったか”を思い出すシーンとネスキーの遺児イレーネのアパートで彼女に真実を話すシーン。(ネスキーは妻に撃たれ、妻は自害とされていた・・)
 ”愛する者を失った時、真実を知りたくなる・・。すまない・・。”
 ジェイソンは優しき男なのである・・。

 ラストシーン、パメラから告げられたジェイソンの本名。
 そして、彼女に言うセリフ。
 繰り返すが、、優しい男なのである・・、多分パメラへの礼も込められていたと思う・・。

 哀しき物語は続く・・。

<哀しいトーンは維持しつつ、ジェイソンの哀しき過去が徐々に明らかになる過程に引き込まれる。
 ポール・グリーングラス監督(脚本・制作)、満を持しての登場作でもある。>

<2005年2月 劇場にて鑑賞>
<その後、色々な媒体で数度鑑賞>

NOBU