「【米国政府に3000万ドルかけて育てられた”哀しき男”降誕。】」ボーン・アイデンティティー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【米国政府に3000万ドルかけて育てられた”哀しき男”降誕。】
-この、”ボーンシリーズ:特に第三作まで”が魅力的なのは、
ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が桁外れの戦闘術や危険を察知する能力を身に着けてはいるが、決して自らの意思で人を殺めるのではなく、次々に襲い来る様々な敵に傷つきながらも、自らの失われた記憶(アイデンティティ)を探し求めるリアルな人間像が観る側の共感を得る部分だろう。-
ーそして、破綻なき物語構成がきっちり2時間以内で収められている所。無駄がないのである。ー
この第一作から、その魅力が見事に映像化されている。ブレないのである。
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嵐の地中海で漁船に引き上げられた男の背中には2発の銃弾。臀部に仕込まれた機械から映し出された”チューリッヒ相互銀行”という言葉。
記憶が戻らない男は、唯一の手掛かりがあると思われるスイス・チューリッヒ相互銀行に赴き、自らの”金庫”内に収められた6種類のパスポート、銃、大金を目にし・・。
序盤から、ぐいぐい物語に引き込まれる。
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スイスから逃亡する際に、偶然一緒に逃げる事になる女性マリー(フランカ・ポテンテ:放浪癖ある魅力的な女性・・・)の”赤くてぼろいミニで”のカーチェイスシーン(細い階段をガタゴト走り降りるシーンなど・・)は個人的にはこの後の数々のアクション映画に影響を及ぼしていると思っている・・。
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マリーとは徐々に恋に落ちていき・・。(男女、一緒の逃避行だからね・・、でも恋愛シーンもあっさりとしか描かれない。ひたすらストイックなジェイソン・ボーンである・・)
その中、徐々に明らかになる事。キーワード。
・ドレッドストーン
・ウォンボシ(アフリカ系政治家)暗殺計画
そして、次々に襲い来る暗殺者たちと、その管理係ニッキー(ジュリア・スタイルズ)。(第4作”ジェイソンボーン”まで全作に登場。)
その暗殺者たち、追跡するCIA幹部も実は”犠牲者&駒”だったことが分かる幾つかのシーンは切ない・・。
<ラスト、地中海沿いでレンタルバイク屋を営むマリーを訪れたジェイソン・ボーン。二人の再会は今作で唯一、明るい気持ちで観れたシーンである。
それにしても、今作から始まり、”ボーン・スプレマシー””ボーン・アルティメイタム” そしてスピンオフとして制作された”ボーン・レガシー:主演はジェレミー・レナー” 2016年に久しぶりに公開された”ジェイソン・ボーン”まで、息長く続いた実に魅力的な”ボーンシリーズ”である。
併せて、今シリーズのヒットとともにスターの階段を駆け上がったマット・デイモン。
一番クレヴァーだったのは、彼だったのかもしれない・・。流石、ハーバード大学卒である・・。(すいません・・)>