blue(2001) : 映画評論・批評
2003年3月15日更新
2003年3月29日よりシネ・アミューズほかにてロードショー
同性愛に興味がなくても納得
奇しくも、女優・市川美日子にとっては、前作「ラヴァーズ・キス」に続いて同性に恋する役どころとなった。こちらの方がよりリアルで、例え同性愛に興味がない女性でも納得できるのは、その恋のお相手・雅美役の小西真奈美の存在にほかならない。
筆者が彼女を初めて見たのは舞台「蒲田行進曲」の小夏役。共演の草なぎ剛に錦織一清というアイドル目当ての観客をも魅了してしまいそうな、張りのある声と美しい立ち姿が印象的だった。
以後、彼女はドラマ「天体観測」や映画「阿弥陀堂だより」へ出演し、すっかり売れっ子となったが、舞台で見た透明感のある美しさは相変わらず。それでいて、笑顔がどこか寂しげ。心の内に意外なヒミツを抱えていそうなミステリアスな雰囲気が近寄りがたいけど、やっぱり気になって……と、まんま本作品で彼女が演じる、クラスのはみ出し者・雅美役にぴったり。そうそう、久本雅美タイプは友人にはいいけど、男も女も不思議ちゃんタイプの深田恭子に弱いモノだ。
実日子&真奈美のキスシーンも美しく、モデル出身者で固めたキャスティングが、魚喃キリコの原作という少女コミックの世界観を大切に描き出しているように思える。
(中山治美)