劇場公開日 2001年9月15日

ブロウ : 映画評論・批評

2001年9月3日更新

2001年9月15日よりみゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

待ってました! とにかくジョニー・デップがカッコいい!

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アメリカの伝説的ドラッグ・キング、ジョージ・ユングを描いた「ブロウ」は、久々にジョニー・デップがジョニー・デップであることを証明してくれた作品。ジョニーが出ているというだけで、B級でもC級でも許してしまうファンとしては「待ってました!」と手放しで喜べる映画です。とにかく、ジョニーがカッコイイ!! それは、彼がその存在をカッコイイと認めたジョージ・ユングその男がカッコイイ! ということでもあるわけで……。刑務所にいるジョージに会ったジョニーは、彼を現代の海賊だと理解したとか……。方法はともあれ、ジョージは自分が夢見た自由に向かってまっすぐに生きた男だと、私も思う。その生き方に共感したからこそ、ジョニー・デップはジョージ役を見事に生きた、のです。

60~80年代のアメリカン・カルチャーをタイムカプセルに乗って旅する感じのファッションと音楽の展開も、「ブロウ」の大きな魅力。ローリング・ストーンズやボブ・ディランなどをBGMに、ジョニーがエルメスだかラルフ・ローレンのスーツから古着のアディダスもどきのスポーツウエアに至るまで──つまり、天国から地獄までの装いに身(体重も変化させて)を包む変遷には絶句!

しかし、「ブロウ」最大の魅力は、アメリカンドリームを食べ尽くした男の、愛の物語であること。若い時代の恋人、成功してからの妻、刑務所で想い続ける娘。パーティは終わらないと信じたかった男が、手に入れた富をすべて失った時、初めて本当の愛を知る──人間の心には弱さと美しさが同居していることを思い知らされて、泣けました。

藤原ようこ

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