「過去と現在の分断を超えて」さすらい 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
過去と現在の分断を超えて
ヴェンダースのロードムービー三部作の三作目。これも初見。
二人の男がたまたま出会い、ともに旅して別れるまでを、あらかじめ決められたシナリオなしに、行き当たりばったりで描いているよう。
ただ、全体を通してみると、過去と現在の分断、そして国家の分断という当時の西ドイツの切実なテーマが見えてくる。
映画、車、鉄道、電話、ガソリンスタンドなど、ヴェンダースならではのアイテムが満載。例のとっぽいサングラスをかけてバイクとサイドカーに乗るシーンは、後半になってからだったんだね。
映像と音楽は、やはり良かったが、編集のリズムには今一つ乗れなかった。ロベルトと父親のシーン、ブルーノと映画館の女性のシーンをカットバックにしたのはどうしてだろう。既存の映画っぽくしたくなかったのかな。
かつてのヴェンダースファンとして、念願の作品を観ることができたわけだが、あの頃観ていたら、どのように観えただろうかと思う。また、次に観る機会があったら、どのように観えるかとも。
過去、現在、未来は、分断できるものではないだろう。
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