「アルモドバル監督の半自叙伝的映画」バッド・エデュケーション(2004) kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
アルモドバル監督の半自叙伝的映画
全体的には、『オール・アバウト・マイ・マザー』や『トーク・トゥ・ハー』のような映像によるインパクトは弱かったように感じた。『モーターサイクル・ダイアリーズ』でも素晴らしい演技を発揮したガエル・ガルシア・ベルナルが新境地を見せてくれたことや、後半のサスペンス映画のような展開のおかげ沈みかけた感覚も再浮上しました。
ゲイ映画はそれほど好きじゃないのですが、数あるゲイ映画の中ではかなり上位にくるかもしれません。エンリケとイグナシオの愛よりも、フアンとベレングエル氏との惰性的で打算的なラブシーンが衝撃的なのです。バッド・エデュケーションというタイトルを冠したことや、チラシや予告編で2人の少年がクローズアップされているため、映像化もやばいであろう少年愛が中心になるかと思っていたら、意外な展開に唸ってしまうほどです。
しかし、「この愛の物語を全ての人々に捧げる」という監督の言葉はいかがなものでしょうか。かなり見えにくくなっている愛のテーマ。もしかすると、「復讐がテーマなのでは?」と途中で感じてしまうほどドロドロした部分を見せておいて、監督対役者という構図の面白さと、ホモセクシャルへの偏見を無くそうとするほどの普遍的な愛情表現。物語の構成が後になって、計算されつくしたものであると気づいてしまいます。上手いなぁ・・・やはり。
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