「なげぇ。」あるいは裏切りという名の犬 Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
なげぇ。
盛り上がってくるまでの展開があまりにゆっくりで、「なげぇ」と17回くらい呟いたあたりでやっと山場が始まった。
アメリカの映画みたいな「正義は勝つ!しかも至極正攻法で!」っていう単純明快な最後じゃなかったけど、たくさんの登場人物や組織の絡みが細かく描かれていて、スッキリした終わり方だった。
物語が進むにつれて悪役としてのキャラクターを確立していくクランだけど、元はといえば権力争いだったり奥さんの取り合いだったり、彼が歪んで壊れていく動機は理解できるし、誰しも思い当たる節があるんじゃないかと思う。
だから世紀末的にウザい奴だと思う反面、部下には嫌われ夕飯の席で自分の奥さんにも哀れまれ、物凄くかわいそうにも見えた。まぁでも、やっぱり嫌な奴。
今まで会ったフランス人はみんなプライドが高くて排他的で仲良くなれた試しがなかったけど、映画はハードボイルドで格好いい。
フランス語の余韻に浸りたくて、エンドロールをぼーっと最後まで見てしまった。
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