穴(2001) : 映画評論・批評
2002年5月1日更新
2002年5月18日より恵比寿ガーデンシネマほかにてロードショー
今どきの娘役ならピカイチ、ソーラ・バーチが見事
「アメリカン・ビューティー」に「ゴーストワールド」と、今どきの娘を演じさせたらピカイチ。この映画の魅力は、ソーラ・バーチの存在に尽きる。
バーチ演じるリズは、学園ドラマによくいるクラスのリーダー格。自分の手を汚さず、人を使って悪さをしでかすタイプだ。失踪事件の唯一生還者となった。だが、賢い彼女は、真相を聞き出そうとする犯罪精神科の女医フィリッパを軽くあしらう。保身のために平気で嘘を付き、真実を闇に葬ろうと企むリズ。その大人をナメきった態度と言ったら、あぁ、小憎たらしいったらありゃしない。見る者に嫌悪感すら抱かせるとは、お見事だ。
とはいえ、某世界的話題作を彷彿とさせる“4人の生徒が忽然と姿を消した”というサスペンス部分は、謎が明らかになる度に「そんな理由かいッ!」とたわいもなくて呆れる。そもそも森の中の「穴」に男女4人でこもった理由が、「好きな男子の気を引くため」。素直に告白すれば済むことを姑息な手段に出るあたり、どんなに生意気な事を言っていても、意地らしくてカワイイ部分でもあるのだが。
本作品を見てティーンの心が理解できるか否か。自分のおじさん度・おばさん度を測る踏み絵として最適な映画である。
(中山治美)