「アメリが運んでくれる幸せ」アメリ マツドンさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリが運んでくれる幸せ
現実に対峙できないアメリを、自分の娘のように愛おしく感じてしまいます(娘はいないのですが)。同時に、恋人のようにも、そして自分自身のようにも思えてしまうのです。それは、ガラス男の心情と重なるのでしょう。
何度もくり返し観たこの映画ですが、いつからかニノと静かに交わすキスの場面で、涙がこぼれそうになる、ようになりました。いい齢こいて、とも思うのですが、いい齢になったからこそ、そうした気持ちになるのかもしれません。
そんな美しいキスは、『僕と世界の方程式』とこの『アメリ』でしか、知りません。自分と相手の弱さを受け入れる者同士の営みには、その哀しみを知る者だけが理解できる救いがあるのです。
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