「性格俳優としてのニコラス・ケイジの真骨頂!」アダプテーション Kadwaky悠さんの映画レビュー(感想・評価)
性格俳優としてのニコラス・ケイジの真骨頂!
ニコラス・ケイジといえば、「ザ・ロック」でショーン・コネリーと共演し、
その後も「コン・エアー」「フェイス/オフ」「スネークアイズ」など
アクションやサスペンスといったジャンルの作品に精力的に出演してきた。
髪の薄さ加減もあってブルース・ウィルスを彷彿とさせた。
そんなアクション俳優のイメージが強いニコラス・ケイジだが、実は「ザ・ロック」の前年に、
重度のアルコール依存症の脚本家と娼婦のラブストーリーを描いた
「リービング・ラスベガス」という作品でアカデミー主演男優賞を獲得してる。
そんなクセのある役を卒なくこなす性格俳優こそがニコラス・ケイジなのだ。
そして、この「アダプテーション」である。
チャーリー・カウフマンが「マルコヴィッチの穴」の映画撮影中、次回作の脚本を依頼される。
その作品はストーリー性のないドキュメンタリーのためか、
チャーリーは脚本が書けずスランプに陥り、自己嫌悪の中を彷徨う。
双子の弟ドナルド・カウフマン(ニコラス・ケイジが二役こなしてます)は
チャーリーと真逆の性格で、そこにジェラシーを感じてしまう。
脚本が書けないチャーリーは、自分の脚本の中に自分を登場させ、
原作者と作品のモデルとなった人物と絡み始める。
それが現実に絡み始めたとき、ストーリーは原作が持つ裏の部分に踏み込み始め、
チャーリーはこの自分が脚本するストーリーの中で事件に巻き込まれていくのだ。
「マルコヴィッチの穴」ほど複雑なストーリーではないが、
毒の効いた展開は見ていて飽きさせない。なぜか引き込まれてしまう。
チャーリー・カウフマンの脚本やスパイク・ジョーンズの演出もあるが、
ニコラス・ケイジの演技のせいでもあると思う。
チャーリーとドナルドの真逆のキャラクターをきちんと演じ分けしているところはすばらしい。