「原作とは随分とラストが異なることにビックリ!」アバウト・ア・ボーイ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
原作とは随分とラストが異なることにビックリ!
他人同士のオジさんと少年が固い絆で結ばれていく本作は、史上最低なお下劣コメディ「アメリカン・パイ」の米国人監督ワイツ兄弟による英国進出作でもあった。彼らは彼らなりに、「アメリカン・パイ」の二番煎じに甘んじることなく胸張って次ステージに進みたかったのだろうし、そこに従来と異なる役を望んだヒュー・グラントと、天才子役、そしてニック・ホーンビィの原作という要素が惑星直結のごとく綺麗に並んだことによって、この伝説的コメディが誕生したわけである。とはいえこの映画はクライマックスが原作と大きく異なる。「キリング・ミー・ソフトリー」など出てこないし、原作ではニルヴァーナのカート・コバーンの死がフィーチャーされていることはちょっとした驚きだ。90年代前半に限定されていた物語を、ワイツ兄弟は手際よく切り開き、いつの時代にも普遍的なコメディへと作り変えた。その大胆な決断もまた、二人の立派な功績と言えそうだ。
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