「観たかった度○鑑賞後の満足度○ フランス版『Wの悲劇』…かな?いや『Mの悲劇』かな?」8人の女たち もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
観たかった度○鑑賞後の満足度○ フランス版『Wの悲劇』…かな?いや『Mの悲劇』かな?
①フランスを代表する女優達が、各々秘密を抱えながらお互いの腹の中を探り会う女達の猿芝居を嬉々としてこれまた芝居している様が何とも観ていて楽しい。
②『うたかたの恋』(1936)の頃は世界一の美女と云われていたダニエル・ダリューがまだその美女の面影を残しているのにはビックリ。しかし、こんなに息長く女優を続けていることや、初めは大人しそうな老婦人と思いきや…と腹芸を見せる辺りは只の美人女優ではなかった証明。歌も一番上手くて昔のスターはやはり何でも出来たんだな、と感慨深い。
③そして、これまた60年代・70年代に世界一の美女と云われていたカトリーヌ・ドヌーブが8人の女達の要となる役を貫禄たっぷり(身体もお肉たっぷり)に快演。8人一人一人にミュージカル・シーンがあてがわれているが、彼女のパートが最も貫禄たっぷりでありながら最も妖艶であったのは流石に大女優。
④今やフランスを代表する大女優となったイザベル・ユペールがここでも達者なコメディアンヌぶりを発揮。定番ながら、眼鏡をかけた冴えない女が妖艶な美女へと大変身する楽しみシーンがあります。
⑤エマニュエル・ベアールはタイプキャストで意外性はないが(それとも本作までは純情な役が多かった?)、ファニー・アルダンはカトリーヌ・ドヌーブに貫禄負けしていない。スケールの大きな女優さんだ。
⑥次女役のリュデビエーヌ・サニエは、少女少女していて、『スイミング・プール』や『真実』に出ていた同じ女優さんだとは思わなかった(どこかで見た印象はあったけど)。
⑦各キャラクターはそれほど深みはないが、名女優・大女優が演じることで役に深みが出て来るのががさすが。
それに各々に見せ場が設けられている。
⑧話自体は何てことないので、悪口や嫌み・当てこすりを言い合ったり口論したり罵りあったり、挙げ句の果てには髪を掴んでの大立ち回りの末に口づけするとか、フランスを代表する女優さん達の競演が“売り”、楽しむ…みたいな映画だけれども、やはり女って凄いな、怖いな、というエスプリはフランス映画ならでは。
其々一癖も二癖もある女達だけれども、“父親を本当に愛しているのは自分だけ””への愛という自己満足(若さ?)から、一芝居を打って女達の本性をさらけ出させた挙げ句、父親を絶望させて自殺させる次女が一番残酷だったかも。
追記:ロミー・シュナイダーの写真が出てきたときには、オゾン監督の映画愛を感じた。
また、ファニー・アルダンの役はエヴァ・ガードナーやリタ・ヘイワースへのオマージュだったとのこと。な・る・ほ・ど…