恋するための3つのルール : 映画評論・批評
2000年9月15日更新
2000年9月15日よりシャンテ・シネほかにてロードショー
ヒュー・グラントの困りっぷりが絶品!
メグ・ライアンもそうだが、ロマンティック・コメディにおけるヒュー・グラントといえば、基本は同じ。人はいいのだが不器用な英国人で、困った状況に陥っては目をシバシバ。パチクリ。「フォー・ウェディング」と「ノッティングヒルの恋人」、そしてこの「恋するための3つのルール」、彼の役は「実はぜんぶ同じ人」と言っても納得しそうだ。いっそ「沈黙」シリーズのように「ウェディング」シリーズにしてもいいかも。
だからといって、これがつまらないということではない (邦題はあんまりだが)。つまり、グラントにはそういう役がはまっている、ということでもあるからだ。今度の彼は、「愛した女がマフィアの娘だったから、さあたいへん」編。なんとか結婚したい一心で恋人の目をごまかし、彼女の父親 (ジェームズ・カーン!) が生業とするファミリー・ビジネスに手を貸す羽目になる。
そこで彼に次から次へと訪れる、ピンチとヤバイ状況の数々。いわば「お約束」的な展開なのだが、これがけっこう、ツボをついていて笑えるのだ。こうなると、ヒューのアタフタぶりは、わかっちゃいるけどやっぱり絶品。カルチャー・ギャップ・コメディとしての出来も上々で、同じく普通の人間がマフィアの世界に巻き込まれるという設定ながら、それを生かし切れなかった「アナライズ・ミー」より面白いかもしれない。まあ、後に残るようなものではないけれど、単純に楽しめればいい、というレベルの保証はしちゃいましょう。
(若林ゆり)