「凶暴性=レイジの意味」28日後... Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
凶暴性=レイジの意味
初めて観賞した際は肩透かしな感じだったのを覚えている。当時私はまだ小学生だ。やはり、「バイオハザード」的なノリを期待していたからだ。しかし、ある程度年を重ねて改めて観賞すると、本作の斬新な切り口に感心させられた。
本作はただのゾンビ映画ではない。終末感は近年の作品でずば抜けて良く表現されており、低予算で製作されたとは思えない完成度である。本作で語られているのは、人を人でなくさせる恐怖のウイルスをどう対処するのかではなく、未曾有の危機に晒された中で、人という生き物はどう生きていくのか、誰を信じるべきなのかという事だ。凶暴なのはゾンビになった感染者だけではなく、未感染の人も全く同じであるということを嫌というほど思い知らされる。
"走るゾンビ"というメインになる存在が居るにも関わらず、それらを背景に置き、人間の性たるものを濃く炙り出すドラマ部分に重きを置いているという、何とも贅沢な使い方をしているのである。流石ダニー・ボイル監督の一言に尽きるだろう。低予算で撮影機材も安価な為、画質は良くないのが残念だが、ここまで重いドラマを呈したゾンビ作品は、恐らく最初で最後だろう。
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