「劇場版『8時だよ!全員集合!!』」宇宙戦争 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
劇場版『8時だよ!全員集合!!』
異星人に街ぶっ壊され、殺されまくって、逃げ回るのみの2時間のどこが戦争なんだろうか?
天下無敵な割に、のっそりビデオカメラで生き残りがいないか、いちいち確かめる小心者の宇宙人のトンチンカンな暴れ方、
全面火の海地獄なのにいつも助かるトム一家の都合の良さ、
愛娘ダコタちゃんの過剰なリアクション芸、
そして、命の恩人を考え方の違いを理由に簡単に殺してしまうトムパパの頭の悪さ
etc.etc.全てが行き当たりばったり。
故に恐怖のSFパニック映画としてではなく、ドタバタのコメディ大作としてスイッチを切り替えて観る事を大いに薦める。
こんなに本気でバカバカしい映画は、そう滅多に巡り逢えないからだ。
バカバカしさの針が振り切れてるから、終始、笑いっぱなし。
採点不可能な映画って普通は、途中で寝るか、怒るかのどちらかなのに、笑い狂うって映画は前代未聞である。
最強の殺戮マシーンは、実は地球が誕生した時に、既に地中に埋まっていたって、あんなにデカいヤツを大量にどう埋めんねん?!
何億年も機会を待つ呑気さが有るなら今さら襲う必要なんて無いやろ!!
電磁波で全ての車が停止している最中、なぜトム一家の車だけ動くねん!!
コイル交換しただけやんけ!!
etc.etc.ツッコミどころ満載。
特に、殺人ビームからやっと逃れてフェリーに乗り、ホッとしたのも束の間、海中からロボット出てきて撃沈する場面なんざぁ、おもいっきり『8時だヨ!全員集合!!』やから笑わざるを得ない。
♪デぇえぇ〜〜ん!!テテテンテケテン…♪の世界。
逃げる最中、踏切待ちしてたら、火だるまの電車が飛び込んだ時点で、もはや『全員集合』どころか、ダメだこりゃ!の世界である。
その前に1957年製のオリジナル版を観ましてね。
原爆ですら通用しない強敵なのに、“地球の大気吸ったら、バクテリアにアタって全滅”するという原爆級オチを目の当たりにした時、
「このまんまリメイクしたらヤバいでぇぇ」
と心配してたんだが、不安って的中するもんやね。
見事過ぎるぐらいそのまんまやったから。
今回は、人間の生き血が大好物なんやろ?!
そんな細菌一杯あるもん呑みまくってりゃアタる確率増えとるやないか!!
散々大暴れした挙げ句、勝手に自滅…
夢オチより性分が悪い。
では、最後に短歌を一首
『人間を 散々殺して 搾り取り 勝手に自滅 もうコントやん』
by全竜