劇場公開日 2004年9月11日

ヴィレッジ(2004) : インタビュー

2004年9月6日更新

Part2から続く

M・ナイト・シャマラン監督インタビュー
Part3:ヒットメーカーのプレッシャー

――あなたがいくら干渉を避けようとしても、マスコミはあなたの新作に注目しますよね。映画の公開前にネタをバラすようなサイトがあったり。

「僕は、自分が3つの世界に囲まれていると考えているんだ。まずはハリウッドの映画業界。そして、その次に僕を取り囲むのが、君たちマスコミだ。この2つが、全観客の15%ぐらいを占める。そして、その外に一般の人たちがいる。アトランタに住むティーンとか、家事に追われた主婦の人とか、とにかくチケット代をちゃんと払って、映画を観にきてくれる人たちのことだ。彼らは、単純に楽しい時間を過ごすために映画を観るわけで、グーグルなんかで映画のゴシップを調べたりなんかしない。で、僕が常に意識しているのは、残りの85%に耳を傾けることなんだ。どうしても普段15%の人たちの話ばかりを聞いているから、影響を受けやすい。抵抗するためには、強くならなきゃいけないんだよ。

例えば、今の僕の頭には、次の映画のアイデアがある。我ながら名案で、君に自慢したくて仕方がないほどなんだけど」

――それって「パイの生活」の映画化ですか?

「いや、その後のオリジナル脚本だ。でも、それを話してしまったら、まだ完全には固まっていないアイデアが影響を受けてしまうことになる。だから、1人で孤独に作業するしかないんだよ」

――現在、3作連続でヒットを飛ばしていますが、ヒットメーカーとしてプレッシャーは感じていますか?

「それはあまりないな。だって、ほんの4年半前まで、僕に注目してくれる人なんて誰もいなかったんだから。当時は通行人の足が見える地下のアパートで暮らしていて、監督作がコケたせいで、クリエイティブ面では悲惨な生活だった。でも、そういった状況のときこそ、自分を見つめ直すことができる。そのとき僕は誓ったんだ。これからは、自分が映画を愛するきっかけになった『E.T.』や『スター・ウォーズ』や『レイダース』みたいな映画を作ろってやろうとね」

――なるほど。

「ただ、映画監督として、金銭的な責任を果たすことは大事だと思っているよ。他のサマームービーはとんでもない製作費を費やしているけど、『ヴィレッジ』はスーパースターもいないから、思いっきり安く作ることができた。だから、この映画は絶対に利益を生み出す。どんなことがあろうともね。

結局のところ、僕はフィラデルフィアで小さな映画を作っているだけなんだ。マスコミが大きく取り上げてくれてるけど、僕の映画は、スタジオ向けのインディペンデント映画に過ぎないんだから」

「ヴィレッジ(2004)」の作品トップへ