劇場公開日 2004年9月11日

ヴィレッジ(2004) : インタビュー

2004年9月6日更新

Part1から続く

M・ナイト・シャマラン監督インタビュー
Part2:シャマラン式発想法

――2年ものあいだ、自分の判断力だけを頼りに映画を作るのは不安じゃありませんか? 自分の判断が間違っていたらどうしようとか思いませんか?

「実は、面白い発見をしたんだよ。ある種の精神論みたいなもので、これについてはいつか本を書こうかなと思っているくらいなんだけど。ほら、人生において、正しい決断をするのはいつだって難しいよね。何が正しいかなんて、その場ではなかなか判断できないものだから。でも、映画制作は2年がかりのプロジェクトで、それ自体が人生のようなものだから、2年のサイクルを何度か経験するうちに、あるパターンが見えてきた。何かがうまくいかなかったり、トラブルがあると、僕はそれをある種のサインと受け止めるようにしてる。『何かが欠けているんだ』とか『人の話に耳を傾けていないからだ』とか。で、自らの行動を改めると、様々なミラクルが起きるんだよ。自分が正しい選択をしたことを、その事象が証明してくれるんだ。

ともに初来日した監督とブライス(記者会見にて)
ともに初来日した監督とブライス(記者会見にて)

例えば、キルステン(・ダンスト)が降板して映画が頓挫しかけたとき、プロデューサーのスコット・ルーディンにブロードウェイ劇を見るように勧められた。そこに出ている新人女優が素晴らしいということで、僕は彼に言われるままに劇を見に行った。そうしたら、その女優(ブライス・ダラス・ハワード)が素晴らしいだけでなく、彼女ほど『ヴィレッジ』の主役にぴったりな人はいないと気づいた。作品の中で伝えたかった無垢さやタフさを体現していて、年齢もぴったりで、偶然にも、彼女の目の色は、盲目のようにも見える。それは奇跡的な出会いで、彼女をキャストしてから全てがうまいように転がり出した。エイドリアン・ブロディ、ウイリアム・ハート、シガニー・ウィーバーと、自分が欲しかったキャストがみんな出てくれることになってね」

――シャマラン映画というと、決まってオチが話題になりますよね。映画の内容よりも、サプライズばかりが注目される現状についてはどう思われますか?

「この状態は決して好きなわけじゃないよ。でも、作品のアイデアを練っているときに、大きなサプライズや、ストーリーの方向を一気に変えてしまうような展開を思いついてしまうんだ。観客がそのパターンに慣れているからとか、そういう理由で、そのアイデアを却下することもできる。でも、そうすると、周囲の反応を意識して物語を作ることになる。『そろそろサプライズのない映画をやろう』とか、そういう風に考えるのは、作品に対して不誠実だ。僕は思いついたアイデアに正直に、作品にとってオーガニックな要素だけを取り入れるようにしてる。他の干渉は一切受けないようにしてね」

>>Part3へ続く

インタビュー3 ~M・ナイト・シャマラン監督インタビュー Part.3
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