劇場公開日 2004年9月11日

ヴィレッジ(2004) : インタビュー

2004年9月6日更新

常に観客の裏をかく奇抜なストーリー展開で話題をさらっているM・ナイト・シャマラン監督作。その最新作となる「ヴィレッジ」が遂に日本でも解禁となるが、監督はいかにして本作を生み出したのか? また、ヒットメーカーとして注目される自身の立場などについて、小西未来氏がニューヨークで監督に直撃。ロングインタビューをお届けしよう。(聞き手:小西未来

M・ナイト・シャマラン監督インタビュー
Part1:「ヴィレッジ」誕生秘話

――昨夜「ヴィレッジ」を拝見したんですけど、この映画をうまく説明する言葉が見つからなくて困ってるんです。これからレビューを書かなきゃいけないんですけど、とにかくいろんな要素が混ざった映画じゃないですか。

M・ナイト・シャマラン監督
M・ナイト・シャマラン監督

「困らせてしまって申し訳ない(笑)。確かに、これは特定のジャンルに収まるような映画じゃないよね。ホラーでもないし、サスペンスでもない。実は、この映画をやろうと思ったとき、最初にイメージしていたのは時代物のラブストーリーなんだ。1897年を舞台にしたロマンス映画をやろう、と。で、その部分を核にして、サスペンスとかサプライズとか、さまざまな要素を足していった。今回特に心がけたのは、非常にエモーショナルでありながら、今までだれも観たことのないようなユニークな映画を作ることだった。観客のみんなが映画を観終わったとき、『こんな映画、生まれて初めて観た』って思えるような映画をね。だから、君がうまく説明できないのは、それがうまくいったという証拠なんだよ」

――「シュレック2」や「スパイダーマン2」などの娯楽映画がヒットを飛ばすアメリカのサマーシーズンにおいて、「ヴィレッジ」はきわめて異質な存在ですよね。もっと、シンプルなジャンル映画にしたほうが、ヒットを狙えたんじゃないですか?

「いや、ビジネス的に見て、それは違うと思う。例えば、『ヴィレッジ』を完全なホラー映画にしてしまったら、10代の男性層しか映画館にこなくなる。逆に、女性を主人公にしたサスペンス映画にすると、大人の女性にターゲットが絞られてしまう。『ヴィレッジ』のなによりもの魅力は、どのジャンルにも属さないその独創性なんだ。珍しい映画だから、映画を見た人は、『ヴィレッジ』について話さずにはいられなくなる。そうすると、その会話を聞いた人は、当然、興味を惹かれることになるよね? つまり『ヴィレッジ』の武器は、オリジナリティにあるんだ」

――時代物のラブストーリーをやろうというところから出発したそうですが、例えば、村人の構成から役割分担、ルールに至るまで、物語世界が作りこまれています。これらはどこから構想のヒントを得たのでしょうか?

「深みのある物語世界を作るためには、とにかく辛抱強くならなきゃいけないんだ。自らのアイデアを信じ、そこにひとつ、またひとつとエレメントを加えていく。一度にこんな世界を作るなんて、到底不可能だからね。だから、完成型が見えないまま、毎日、少しずつアイデアを重ねていく。その先には、素晴らしい作品が待ち受けていると信じながら。それを2年間続けた結果、このような作品が仕上がったわけだ。

実は、こんなやり方ができるようになったのは最近のことなんだ。先に全てを決めてしまわずに、いつか素晴らしいアイデアが舞い降りることを信じて、とにかく作業を続ける、という。これは、フィルムメーカーとして成熟した証拠だと思う」

>>Part2へ続く

インタビュー2 ~M・ナイト・シャマラン監督インタビュー Part.2
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