ヴァン・ヘルシング : 特集
ハリウッドの老舗スタジオ、ユニバーサルが同スタジオ史上最大の製作費をつぎ込んで完成させたアドベンチャー大作「ヴァン・ヘルシング」は、誰でも楽しめるエンターテインメントだが、その裏には巧緻なストーリーが隠されている。続編もあるかもしれない本作、深読みしておいて損はない!? ネタバレ覚悟で、“裏ドラ系”のディープな世界に触れてみよう。
ヴァン・ヘルシング超研究
編集部
まずは本作の魅力のひとつでもあるキャラクターたちの背景を探ってみよう。彼らは皆、過去の映画で活躍し、様々な俳優たちが演じてきた伝統のあるキャラクターなのだ。
【研究1】キャラクターの背景
■クラシック・キャラクター「ヴァン・ヘルシング」
ヴァン・ヘルシングのオリジナルは、ブラム・ストーカー原作の「吸血鬼ドラキュラ」。ヴァン・ヘルシングは、アムステルダム大学の名誉教授で、精神科医でもある60歳の老人として描かれている。モデルはブダペスト大学の東洋学の教授アミニウス・バンペリ(本当に吸血鬼伝説とか調べている人だったらしい)という人物だとか。
■アンソニー・ホプキンス
過去のドラキュラ映画においても、ドラキュラの“天敵”ヴァン・ヘルシングは、ピーター・カッシング、ローレンス・オリビエなどが演じている。原作に比較的忠実といわれるフランシス・フォード・コッポラの「ドラキュラ」では、アンソニー・ホプキンスがヴァン・ヘルシングを演じているが、ドラキュラの方がまともなんじゃないかと思えるくらい危険な雰囲気を漂わせていた。 今回はヒュー・ジャックマンが演じることで、若々しいイケメンに大変身。
■クラシック・モンスター集結
本作には、ドラキュラ以外にもフランケンシュタイン、ウルフマン(狼男)、二重人格のハイド氏(ジキルとハイド)など、有名なモンスターたちが登場する。ユニバーサルは30年代にこれらのモンスターが活躍する映画を世に送り出し、一世を風靡したが、「ヴァン・ヘルシング」の驚くべき点は、これらのモンスターたちのプロフィールや設定を壊すことなく、ストーリーライン上に見事に融合させていることである。「ミイラ再生」(32)を現代に蘇らせた「ハムナプトラ」で大ヒットを飛ばしたスティーブン・ソマーズ監督が、ユニバーサル・モンスターへの多大なリスペクトを払いながら生み出した脚本の賜物だ。