ヴァン・ヘルシング : 映画評論・批評
2004年8月17日更新
2004年9月4日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
上下移動を活かしたアクロバティックな闘いに興奮!
ドラキュラ伯爵の陰謀にフランケシュタインの怪物やウルフマンを巧みに結び付け、さらにジキル博士とハイド氏も主人公ヴァン・ヘルシングのキャラ説明の味付けとして使う。
「ハムナプトラ」シリーズでミイラ男を鮮やかに復活させたスティーブン・ソマーズ監督は、ユニークなアイデアで懐かしいモンスターを一挙に甦らせた。しかも、根底にあるのは生きたいという根源的な欲求。ドラキュラが、生ける屍ゆえに得られぬ我が子を欲して策を弄するのも、本物の命への憧れにほかならない。呪われたモンスターの哀しみを示しつつ、その宿命を見事に絡み合わせている。また、ヘルシングを従来の老教授から精悍なモンスター・ハンターに変え、失った記憶を求めて闘う運命を背負わせたのも興味深い。
一方アクションは、上下の動きにこだわり、かつてないスリルを味わせてくれる。ドラキュラの3人の花嫁を翼を持つ悪魔の姿に変身させ、空中戦を演出。さらに闘いの場となる2つの城を目も眩む高さにし、ロープを使ってのアクロバティックな闘いを次々と見せる。ただ、アクションの勢いに設定の妙が薄れたのが残念。天使ガブリエルとの関連も匂うヘルシングの正体と合わせ、続編に期待!
(山口直樹)