「核の脅威の二段仕込み」トータル・フィアーズ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
核の脅威の二段仕込み
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アメリカを狙ったテロ映画は多いが本当に爆発したのは「トゥルーライズ(1994)」くらい、ウォール街を狙った「ピース・メーカー(1997)」も間一髪、起爆薬だけで済んでいる、「ブラック・サンデー(1977)」もスーパーボールを狙ったテロ映画の話題作だったが、なんと本作ではついに一線を越えてしまった。
その過激さぶりにはぞっとするがプロット自体はテロリストも早々に露見するし、敵を追い詰めるサスペンスでもなく、ライアンも文官なので派手なアクションも希薄、とすれば見せ場は核の脅威の二段仕込みなのだろう。タイトルにも在るようにテロによってけしかけられた核戦争勃発の恐怖の連鎖が主題なのだろう、欲を言えば心理戦なのですからキューバ危機を描いた「サーティーン・デイズ(2000)」くらいの知的な葛藤描写がほしかった。
他のライアンは知的で説得力があったが本作のライアンはどうみても普通の青年、あまりにも説明ベタなので単なるロシアびいきにしか見られない。命を救った大統領からも嫌われなんとロシア側に信任を得ると言う、皮肉にしてはきつ過ぎるキャラ設定も訝しい。
人物描写はともかく、原作では首謀者はアラブ系、書かれたのは1991年で9.11(2001)を予見していたかのようなトム・クランシーの慧眼には恐れ入る。
後から考えれば難点はあるが緊迫感あるCIAもの、エンターテインメントとしては見応えがありました。
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